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HPのCEOであるMurk Hurdが、9月7日に株主向け会見を行ったことが報じられた。その中で、HPがDELLとIBMに対してどういうポジショニング戦略を取るつもりであるのかを語っている部分がある。戦略的には面白い対比をなしており、HPの今後の展開を期待させる一方、これまでの活動との矛盾点も見えてくる。

インフラストラクチャー・テクノロジー企業

Hurdは、HPをインフラストラクチャー・テクノロジー企業にするという。そして、DELLに対しては以下のような差別化を図るとしている。

「DellとIBMは、HPと全く異なる企業だ。IBMの事業は、ビジネスプロセス分野が主だ。しかし、HPは、技術と研究開発を重視する企業だ。われわれは、Dellに比べ、多くの費用を研究開発につぎ込んでいる」

つまり、Hurdから見れば、IBMは顧客の業務への密着度が強みであり、DELLはコモディティ分野における生産効率性が生命線ということになる。一方でHPは、研究開発にしっかりと投資してテクノロジーを提供していくことにフォーカスするということだろう。

マーケット・リーダーの法則

HurdがHPをIBM及びDELLに対比するのを読んで、"Discipline of Market Leaders"という本を思い出した。(邦訳は「ナンバーワン企業の法則―勝者が選んだポジショニング」)この本が教えてくれるのは、戦略とは選択であること、そして企業は3つのポジショニングから1つを選ぶ必要があるとすることである。この3つは相互に矛盾するものであるため、中途半端に複数を同時に実現しようとすると、勝つことはできないと指摘する。

その3つとは、Product Leadership(商品力で勝負)、Customer Intimacy(ベストソリューションで勝負)、Operational Excellence(価格で勝負)である。なぜ、この3つが同時に実現できないかといえば、それはこれらが相互に矛盾する要素を持つからである。例えば、Operational Excellenceを狙えば、顧客毎に異なるサービスを提供したり、あるいは、基礎研究にお金を使ったりするわけにはいかない。また、Customer Intimacyを選ぶならば、高いサービスレベルを維持するためにコスト削減には限界があり、プロダクトアウトは出来ないのである。

この考え方に先の3社を当てはめると、HP=Product Leadership、IBM=Customer Intimacy、DELL=Operational Excellenceとなる。IBMはインダストリーカットでソリューションを組み上げ、顧客ニーズに応じたサービスに主軸を置いている。一方で、プロダクトアウト的な要素が強いハードウェアビジネスの比重を下げてきた。DELLはご存知の通り、自らの研究開発は最低限に留め、コモディティ化した部品群を組み立てることの効率性が最大の強みである。HPはハイエンドではIBMと競合し、ローエンドではDELLと競合するという、中途半端な状況にあるが、今回の会見を聞く限り、Product Leadershipを路線を選択したと解釈できる。

戦略が必ず失敗する理由

一方、戦略は立てても大抵うまくいかないので、戦略なんて持たないほうがましであるという意見がある。しかし、"Discipline of Market Leaders"を読むと、何故に大抵うまくいかないのかが理解できる。それは、3つの選択肢のそれぞれは、どれも正しく見えるため、全てを中途半端に実現しようとすることが世の常だからである。

例えば、「当社の戦略は、?更なる効率性向上によってコストを削減し、?研究開発を増やすことで次世代の商品群を創出し、?顧客の声に耳を傾けてベストソリューションの提供に努めることです」なんていう発言は全く珍しくない。しかし、この3つを同時に推し進めれば、先ほど説明した通りに、相互矛盾に行き当たって、どれもが大した効果を上げることなく立ち消えとなり、やっぱり戦略立てても駄目ですねとなる。

逆に「ベストソリューションを提供するために、コスト削減は実施しません」などと言うのも問題ありである。コストが青天井で増大し、収益悪化は免れない。要は3つの選択肢のそれぞれで一定の努力を行うべきであるが、企業として拠って立つところがどれであるかを明確にするべきということである。これが日々の判断に役立てられれば、企業体としての差別化が可能になる。

HPはどうか

そういう意味で、これからのHPがどのように筋を通していくのかに注目していきたい。前CEOの元、UNIXプロセッサーの開発はIntelにアウトソースしてしまったし、最近のリストラでは研究プロジェクトの削減が話題となった。これらだけ見ると、果たしてHPの戦略は明確になっているのだろうかとも疑いたくなるが、新CEOが就任してまだ半年である。これからの戦略実現フェーズに期待したい。

※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。

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