「Globalization 3.0」と「SI 2.0」 -- ET研に参加して 

April 24, 2006 2:06 AM
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アメリカの同僚からFriedmanの「The World Is Flat」がとても面白いと言われて読み始めた。実は2ヶ月くらい前に買ったものを、マッシブな外見に圧倒されて見て見ぬ振りをしていたのだが。そのなかで、我々がWeb1.0とか2.0とか定義しているように、FriedmanがGlobalization1.0/2.0/3.0を定義していて面白い。今回は、この話と、CNET Bloggerの渡辺さんが主催するEmerging Technology研究会でのSI2.0の議論を絡めてみたい。

「グローバリゼーション」の定義
Friedmanが言うには、Globalization 1.0は、何とコロンブスがアメリカ大陸を発見した1492年から1800年まで。Globalization 2.0は、1800年から2000年まで。そしてGlobalization 3.0は、2000年から現在に至るまでとなる。その定義の裏には技術的なブレークスルーがあるわけだが、ここではその詳細に触れるよりも、Friedmanがそれぞれの時期においてグローバリゼーションのドライビング・フォースとして定義したものを見るのが早い。

Globalization 1.0は、国の力。Globalization 2.0は、企業の力。そして、Globalization 3.0においては、個の力がグローバリゼーションを推し進めるのだと言う。詳細な説明はなくとも、なるほどという感じである。

Emerging Technology研究会
さて、SIである。今回は、研究会で「SIビジネスの今後、あるいはSIer2.0」というテーマを取り上げるということで、(本当は釣りにいきたかったけど)参加した。(実は初参加でちょっと緊張。しかも一番前に座れと言われてかなり動揺。)大手SIer、ソフトウェア・ベンダー、マネージメント・コンサルティング、テクノロジー系ベンチャーまで、すごい顔ぶれである。

SIビジネスの問題点
それでも、必ず問題点として集約されてくるのが、人月をベースとしたビジネス慣行の問題。SIer側は自分達のデリバリーしていることの価値が正当に評価されないと主張する一方、サービスの価値をきちんと評価する方法が存在しない点において業界の未熟さを指摘する声も強い。

そして、きつい一言はSI関連のM&Aを手掛けているという方から。驚くことにというか、当然のこととしてというか、極論すればSIerのバリュエーションは社員数で決まると。そしてその成長は、社員数がどれだけ増やせるか、つまり採用計画で決まると。つまり、投資の観点からするとそのくらい評価の軸が見え難いビジネス形態であるということになる。

グローバル競争からの脱落
研究会では、事前に参加者が提出してある問題認識が配布される。その中でSIerの抱えるリスクとしてグローバル化を指摘するものが多い。一つにはオフショアリングによるビジネスの流出であるが、一方で、これまで言語と文化の壁に守られてグローバルな競争から隔離されてきたという競争力の無さというものがある。

先に指摘された通り、極論すればSIビジネスのバリュエーションが社員数で決まるということならば、これは完全にコモディティ化したビジネスであり、オフショアの洗礼を受けるのは間違いない。それは、オフショアに出すということではなくて、オフショアに取られるという形で実現すると見るべきである。

しかし、ここで起きているグローバリゼーションは、国家の支援、企業のスケールに依存したものであり、Friedmanの定義に従えばGlobalization 1.0、あるいは2.0の世界。つまり、いまだ2000年以前の戦い方である。

SIer2.0
SIerの役割は、テクノロジーとエンタープライズを結びつけることにあるが、それは社員の数との相関関係は低いはずである。一方、社員の数との相関関係が高い領域は、低付加価値へと向かい、オフショアとの競争に晒される。これはスケールのビジネスであり、これがSI1.0ということになろう。

一方、SI2.0は、スケールのみには依存しないビジネス、つまり個々の社員の付加価値をインテグレーションすることにあるのではないだろうか。そして、Globalization 3.0が、個人のグローバル化を意味するように、SIerの社員は個人としてオープンなイノベーションに関わっていくことになる。つまり、社員のもたらす付加価値の総体は、その企業のみに閉じないのである。これをビジネス領域へと取り込む力がSI2.0の源泉となる。

今、SIビジネスに求められるのは、これからを見据えたビジョンである。最近はかなりエンジニアリソースの供給が逼迫しているために、SIも収益回復傾向にある。ただし、それが付加価値の向上によるものなのか、需給関係によるものなのかは慎重に見極める必要がある。オープン・イノベーションのSI2.0へ、そしてGlobalization3.0へ向かうためにも。

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さて、まるで"The World Is Flat"を読み終わったような書きっぷりでありましたが、Globalization 1.0 - 3.0の話が出てくるのは9ページ目。この本は488ページです。 以上。

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プロフィール
飯田哲夫(Tetsuo Iida)
電通国際情報サービスにてビジネス企画を担当。92年、東京大学文学部仏文科卒業後、不確かな世界を求めてIT業界へ。金融機関向けのITソリューションの開発・企画を担当。その後ロンドン勤務を経て、マンチェスター・ビジネス・スクールにて経営学修士(MBA)を取得。知る人ぞ知る現代美術の老舗、美学校にも在籍していた。報われることのない釣り師。
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