透明化するSunのポジショニング戦略

September 8, 2007 02:16 PM
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ハードウェア・ベンダーというと、ついつい同列に並べて考え勝ちであるが、Sunの最近の動きを見ていると必ずしもそうではないと認識を新たにする。SunのCEOであるJonathan Schwartz氏は「Solarisにとって重大な日」と題する8/16付けのブログで、IBMのハードウェアでSolarisがサポートされることになるというニュースについてコメントを寄せている。そこにはデカデカとIBMロゴまで掲載されているのである。これは一体どう考えれば良いのだろう。

そもそもは純然たる競合関係
IBMとSun,そしてHPと言えば、サーバーマーケットにおいて熾烈な競争を繰り広げてきた過去がある。相手の隙を突いてはマイグレーション・プログラムなどを展開し、そこに協調関係を見出すのは困難であった。各社のUNIX OSはそれぞれに独自であり、顧客ロックイン戦略の典型的なビジネス領域でもあった。

しかしながら、サーバーマーケットはUNIXからPCサーバーへと成長分野が移り、オープンソースであるLINUXの信頼性が高まり、そしてサーバーの仮想化技術が注目を集める。つまり、サーバー市場は徐々にコモディティ化が進行した。こうした中、各社は新しい成長戦略を描く必要が生じることとなる。

ポジションを変えるIBM、アプローチを変えるSun
ダイナミックな取捨選択を得意とするIBMは、アプリケーションのレイヤーへとビジネスの主軸を移していく。コンサルティング会社を買収してサービス部門を強化し、ソフトウェアベンダーの買収を繰り返してアプリケーションのポートフォリオを拡大する。つまり、コモディティ化の進むレイヤーを避けて、付加価値の高いレイヤーへとポジションをシフトした。PC部門の売却もこうした過程で行われたものだ。

一方、Sunはどうか。ソフトウェアベンダーの買収も確かにあるが、IBMほどに明確なアプリケーション志向は見られない。むしろ、ポジションは変えないが、サーバーマーケットに対するアプローチを変えたように見える。それは、OpenSolarisに代表されるオープン化戦略に象徴される。つまり、ソフトウェアをオープン化することによりコミュニティを形成し、幅広いユーザーを獲得する中で、関連するハードウェアやサービスの収入を拡大するというものだ。

そして今回のIBMとの提携であるが、これはある意味自然な流れとも言える。IBMは主軸をアプリケーションにシフトしている以上、基盤ソフトウェアに関するこだわりは少なくなってきているはずだ。一方、Sunにしてみれば、オープン化の中で従来競合してきたハード上においても自社ソフトが浸透する可能性を拒絶することは出来ず、むしろそれによってユーザーベースを拡大することの方が望ましいはずだ。こうして、IBMハードに対する裏方としてSolarisが稼動するという現実も受け入れることができる。

透明化するSun
ところで、先日Sunがティッカーコードを「SUNW」から「JAVA」へ変更したことが話題となった。JAVAそのもにに対するSunのコントロールが批判を浴びているだけに、今回の変更は賛否両論巻き起こしているようだが、ここに「透明化するSun」とでも言う現象を感じる。Jonathanは、SunとJAVAの関わりの強さ、そしてJAVAの持つ認知度の高さを今回の変更の理由に挙げているが、私にはSunが自らをオープン化していく中で、その姿を見えないものとしようという意志を感じるのだ。

IBMマシンでもSolarisは動く。しかし、何となく、それがSunというブランドの下だとまだ違和感がある。しかし、それがJAVAのようなより中立的で、あらゆるところに浸透したイメージの下では、その違和感も減じられる。つまり、より薄く広くユビキタスな存在へと変化するためにブランドイメージを変えることを目論んでいるのではないかと思うのである。

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プロフィール
飯田哲夫(Tetsuo Iida)
電通国際情報サービスにてビジネス企画を担当。92年、東京大学文学部仏文科卒業後、不確かな世界を求めてIT業界へ。金融機関向けのITソリューションの開発・企画を担当。その後ロンドン勤務を経て、マンチェスター・ビジネス・スクールにて経営学修士(MBA)を取得。知る人ぞ知る現代美術の老舗、美学校にも在籍していた。報われることのない釣り師。
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