ビジョンからターゲット 〜 ITILを理解するために  〜

2006年09月27日 18:22
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前回に続き、ビジョンを実施できるようにするには、どうしなければならないかを話すことにしましょう。

前回は、ビジョンをどのようにして設定すればよいかというところまで進みました。今までは構想の段階でしたが、次は具体的な計画段階になります。次のステップに向かう前に準備が必要です。その準備とは、現状とのギャップを認識する必要があるということです。また、何を手に入れるかを具体的に示すことができなくてはならないのです。プロセスのアウトプットになるものということです。その手に入れたものを客観的に評価する評価基準も提示できなければならないということになります。最終的な目標を数値化したターゲットが設定されなければならないのです。こういう段階を通じて、ビジョンを実施するための詳細化の作業が行われるのです。

まずしなければいけないことは、計画段階での適用範囲を設定する必要があります。ターゲットは到達するための最終目標の設定となります。
それでは、残りの3W(WHEN:いつまでに実施しなければならないか。WHO:関与する人は誰か。WHERE:どこで実施するか。)について見ていくことにします。この3Wは、前回述べたようなトップダウン式とは違い、相関があって、互いに影響を及ぼすことが在ります。別の視点からは、次のように表現することもできます。

・計画の具体的な適用範囲を対象として明確にする。
・計画を実施する組織と責任、役割を具体化する。
・計画を実施する役割に、リソースを配分する。
・最終目標、ターゲットを決定する。
・計測基準を定義する。
・制約条件を提示する。

WHEN
WHEN:いつまでに実施しなければならないか。
ビジョン達成の計画を立案していくことになります。この段階での制約条件となります。ビジョンが長期にわたるものであれば、実施できる段階をマイルストーンとして設定して、何段階かに分けて設定するという必要があります。いつまでにそれを達成するかという期限(時間的目標値)であり、レビューの時期と考えてよいでしょう。これが、納期という言葉になると非常にプレッシャーの大きい言葉になりますが、タイムリミットということでは一緒です。時間的制約のないプロジェクトはありません。“時期”と“時機”という言葉があるように、計画では時間的な制約を設定しているのですが、計画を推進するために、啓蒙活動や衆知活動を通じて、実施できる時機を見極めることが必要です。スコープを決めるときの重要な条件です。
また、ビジョンを達成していく段階では、状況変化、制約条件の変更、ボトルネックのコントロールにより計画が次第に変わっていくということが良く起こります。計画を作ること自体が嫌いな方がいらっしゃると思います。しかし、計画がなければ、何かの事態が発生したときに、事象への対応で圧倒されてしまうことになります。そもそものベースラインがないので、どこに戻ったらよいのか、どれだけの差異が発生しているのかを観測できないということです。

WHO
WHO:関与する人は誰か。
ビジョンを設定するときと、実行段階に応じて、関与する人が大きく変わります。ビジョン設定の段階では、一言で言ってしまえば、ステークホルダということになります。このステークホルダの訳語として、利害関係者という言葉が使われています。ステークホルダは次の4つに分類できるでしょう。

・株主
・顧客・ユーザ
・経営者
・従業員

誰が関与するかは非常に重要な要素です。その人の持つスキルもリソースとして欠かせない要因だし、そういうスキルをもった人を何人アサインできるは、スケジュールを左右する大きな要因です。要員計画は、啓蒙活動や教育トレーニングと連携し、個人レベルで記録管理されている必要があります。
個人のスキルは長中期的な、ビジネス計画とも連携した、それぞれのスキルパスの考えが反映されていることが望まれます。
コミュニケーション計画、人員計画、はそれぞれ役割をきちんと遂行できるスキルのある人に割り当てられなければならないのです。同時に責任の割当と権限の委譲も行われます。
ビジョンに従って目標をきちんと数値化できることがまずマネジメントのレベルに求められます。つぎに、設定されターゲットを理解し、達成するための施策、すなわち方法と手順をきちんと示す責任があります。この方法と手順を実行する責任と役割がスキルに応じて、割り当てられます。適材適所の言葉が当てはまるようであれば、優れた組織ということができるでしょう。スキルが不足している場合や、人員が足りない場合は、OJTを含め多教育計画と任命された担当者のモチベーションの維持に配慮が必要です。

WHERE
WHERE:どこで実施するか。
この項目については、あまり言及することもないのですが、スコープの対象となるということで代表されると思います。つまり、ビジョンを実施段階まで落とし込んできたときに、どの範囲、どのエリアを対象とするかといった見方によって、適用範囲を設定することができる場合もあるということです。
もうひとつの見方は、実施拠点をどこに設置するかということです。管理体制を明確にし、マネジメント単位を明瞭にするためには、既存の組織とは別に中心となる場所を設けることによって、コミュニケーション計画が大きく違ってくるものです。場所をきちんと設定すること、集合できる馬車があることによって、共通意識が生まれ、人心の障壁を取り除くことに貢献できる場合が多々あるようです。

ITILでは、プロセス改善モデルと継続的サービス改善プログラムを扱っています。その説明で、同様に何個かの疑問詞を使用して解説していますが、そのレベルの解説とは異なりますので、混乱しないようにお願いいたします。
あくまでも、ITILを理解するうえで、ビジョンの概念を見返してみることによって、前述のITILの改善のアプローチがいかに大事なことを表現しているかを認識していただき、ITILでチャレンジすることの意味を明確に把握できるようになっていただくことを前提とした解説です。皆さんのより一層の改善の参考になることを期待しています。


前田 隆

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前田隆(Takashi Maeda)
日本CA 研修サービス部 マスターインストラクタ。 ITIL Foundation資格取得者を1500名以上を教え、プラクティショナコースおよびマネージャコースの講師も担当。
木村泰介 (Taisuke Kimura)
日本CA マーケティング部にて、運用管理製品やITIL関連ソリューションの販売推進を担当。製品やソリューションのセミナー、営業資料の企画などを行う。
榎本浩(Hiroshi Enomoto)
日本CA マーケティング部 CA入社当時はメインフレームのプリセールス・導入作業・サポート業務などを担当。その後、オープン系のプリセールスを経て、現在のマーケティング業務に就く。
芝村龍太(Ryota Shibamura)
日本CA ソリューションコンサルティング部 シニアコンサルタント。 セキュリティ、システムマネジメント分野を主としたソリューション企画、提案、コンサルティングを担当。現在は主にITIL関連ソリューションの提案、実装コンサルティングを行う。
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