ITIL V3 出版について(1)

2007年06月18日 21:35
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ITIL V3が5月30日に出版されました。リフレッシュプロジェクトとして、ワールドワイドで大規模に展開された改版でした。プロジェクト関係者はさぞ大変だったことと思います。また、IT技術、ビジネスを取り巻く環境が変遷する中で、このような集大成が世界規模で行われたことは素晴らしいことだと感動しております。改めて関係者のご尽力に感謝いたします。

ところで、V3では、V2と何が変わったのか非常に気になるところでしょう。
・ すでにV2を参考に導入したプロセスはどうしたらよいか?
・ ISO20000との関係はどのようになるのか?
・ 資格は取り直さなければいけないのか?
・ 今進めている、導入のプロジェクトは、V3対応に変えるべきか?

などの質問を受けることがあります。基本的には、現状のままで続けていただくことで、なんら差し支えは生じません、ということです。

とはいうものの、中身はやはり気になるところでしょうから、今回は包括的なレベルで見てみたいと思います。まず、すでにご存知のこととは思いますが、出版された書籍は以下の5冊になります。

・ Service Strategy
・ Service Design
・ Service Transition
・ Service Operation
・ Continual Service Improvement

さらに、これらをまとめた、“Introduction to ITIL 3 Service Lifecycle”も同時に出版されました。

これらのテーマの写真ですが、葉、貝、豆の莢、花、ヒトデのように見えます。これらの、普段は見ることができない複雑な内部構造が、たぶんX線写真だと思いますが、見えるようにした写真を使用しています。ITサービスを理解しやすくするために、見えるようにするということを象徴した写真にしたのかな、というのが私の推測です。

今回のリフレッシュで大きく変わったところは、なんといっても、視点がプロセス個々の解説から、ITサービスのライフサイクルの観点になったということです。これが意味するところは、ビジネスとITサービスの統合化が進むということだと考えられます。以前から、ITサービスとビジネスは相互理解が大切である、ということが強調されてきました。しかしながら、ITILプロセスすべてを導入するのは大変なことでした。どうしても、サービスサポートの一部のプロセスを導入して、満足してしまうケースがありました。ITILの目指すところは、組織に継続的な改善を行える文化を築くことであると理解しています。IT技術の進歩、ビジネス環境の変化、価値観の多様化といった常に、動き、変化し、しかも異なる要求に対応しながら、ITサービスの品質を維持し改善し続けなければならないという状況に対応していくのです。個々のプロセスの成熟度が向上するだけでなく、プロセス相互の関連が相乗効果をもたらすような、価値の連鎖が全体的に波及すること、を狙ったものと観ることができると思います。

従来は、IT関連の組織は、部分最適化に陥りやすい組織であるということが言われていました。この状況を打破するべく、ビジネスとの統合を意識する必要があるようです。ITが、一部の業務の効率化に使用されていた段階は、過去のものになってしまいました。先端技術の対応のために、IT関連技術に特化して投資することも古くなってきました。ビジネスの要件をどのようにしてITサービスで実現するかということが重要になってきました。それどころか、ITサービスによって、成功している新規ビジネスも多数の例があることは皆様もご存知のとおりです。ITサービスが提供している機能それぞれの仕様も当然大事ですが、ITサービス全体としてビジネスをどう支援するか、という視点に近づいたように思えます。

話しをちょっと変えて、従来のプロセスが、主としてどの書籍に記述されているかを簡単にまとめてみました。参考にしていただければありがたいです。ただし、従来のプロセスでも、活動のレベルでは、ライフサイクル上の、同じ書籍に記述することが困難なものもあり、V2のプロセスそのままでV3の書籍に使用されているわけではないということはご理解いただきたいと思います。また、V3になって増えたプロセスもあります。詳細は、別途解説の機会を設けたいと考えております。また、この分類をして気付いたことですが、現状のクラスタ式のITILプラクティショナの試験と似ているので、それについても記述しました。

V3 書籍タイトルV2 プロセス名称プラクティショナ試験
Service StrategyITサービス財務管理Plan and Improve*
Service Design可用性管理
キャパシティ管理
ITサービス継続性管理
Agree and Define
Service Transition変更管理
リリース管理
構成管理
リリースとコントロール
(Release and Control)
Service Operationサービスデスク
インシデント管理
問題管理
サポートと回復
(Support and Restore)
Continual Service Improvementサービスレベル管理Plan and Improve*

* Plan and Improve はライフサイクルの2冊の書籍にわたっています。

という全体的な話しですが、個別の書籍については、改めて解説しましょう。

前田 隆

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プロフィール
前田隆(Takashi Maeda)
日本CA 研修サービス部 マスターインストラクタ。 ITIL Foundation資格取得者を1500名以上を教え、プラクティショナコースおよびマネージャコースの講師も担当。
木村泰介 (Taisuke Kimura)
日本CA マーケティング部にて、運用管理製品やITIL関連ソリューションの販売推進を担当。製品やソリューションのセミナー、営業資料の企画などを行う。
榎本浩(Hiroshi Enomoto)
日本CA マーケティング部 CA入社当時はメインフレームのプリセールス・導入作業・サポート業務などを担当。その後、オープン系のプリセールスを経て、現在のマーケティング業務に就く。
芝村龍太(Ryota Shibamura)
日本CA ソリューションコンサルティング部 シニアコンサルタント。 セキュリティ、システムマネジメント分野を主としたソリューション企画、提案、コンサルティングを担当。現在は主にITIL関連ソリューションの提案、実装コンサルティングを行う。
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