「経営管理システム」 のあるべき姿?

2008年02月07日 23:41
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本日、ZDNet Japan ソリューションフォーラム 2008 に登壇してまいりました。久々に40分と短めのセッションだったためちょっと時間オーバーしてしまいました、すみません。お世辞だとは分かっていても、大変タメになるお話ありがとうございました、なんて言われるとうれしいですね。アンケートご回答いただいた方もありがとうございました。回収率が7割を超えているようで、ひとまず会社への説明責任も果たせそうです。

基調講演を除く 4セッション中、私を含め 3つは 「パフォーマンス マネジメント」 が主題。以前のエントリーにも書きましたように、やはり BI はツールではなくシステムとしてとらえる時代になってきたということでしょう。案件でも 「経営管理 (IT) システム」 という文脈の話が多くなってきました。しかし、今日の 3 社の立ち位置がちょっとずつ違うのと同様、案件での要求レベルもまちまちです。十分成熟していてツール論まで落とせるものから、哲学的だとか政治的だとかの領域から抜け出せないものまで。そのような場合、「経営管理システム」 のあるべき論についての合意形成ができないと、永遠に答えが出なくなりがちです。

いわゆる 「見える化」 要求が特に経営者層で間違いなく増えています。経営者は、配下の事業部門などの組織がちゃんと動いていてこれからどうなるのかの見込みが知りたい、と至極当たり前の感情を持っています。しかし各事業部門からは定期的に集計レポートが上がってくるものの、リアルタイムには報告がされておらず、またそこに書かれている見通しにどんな根拠とクセがあるのかわからないので、期末になってゴメンナサイされちゃわないかとびくびくしています。そこで経営者はシステム部門に、IT でどうにかせい、と指示するのです。指示されたシステム部門は、ダッシュボード ツールで経営者向けの情報画面作ってそこに事業部門からデータを入れてもらおうなんて考えてみてから、いや待てよ、部門がそんな面倒なことしてくれるわけないよな、と気づいてしまうわけです。

事業部門の責任者が、経営者に対して真実を打ち明けたくないというのが根本的な問題。組織のフラット化を目指して権限移譲を行った企業が多いのでしょうか、権力はある意味、金と情報統制がセットになったものですから、それが経営者の手に戻らないのもまた当然、既得権益ですもの。つまりこれは、経営者と事業部門責任者が何を約束するのか、約束が果たされていることをどう証明するのかという話なのです。経営者は本当に詳細なデータが知りたいわけではなくて、期末になって急にゴメンナサイする部門長が信用できないということですから。ガバナンスの問題であってシステムの問題ではないのです。じゃあそんな経営管理システムって何の意味があるのか?ガバナンスが効いていないからデータが集められなくて経営管理できないとするならば、逆にガバナンスが効いていればデータは握りの証拠として自然に集まるわけで、IT 化する必要なんかどこにあるのでしょう。

アンケートとおんなじで、表面上の回答がそのままその人の差し迫った問題であるとは限りません。経営者視点での見える化は、詳細な情報を知りたいということが直接的な理由ではないのです。今うまくいっているかどうかは結果を見れば誰にだって分かるわけで、本当に知りたいのは常に変化するビジネス現場における見通しであり、理想的な信頼関係の下では本来心配する必要のないことです。だから、実績データに基づいて多次元解析により予測を立てましょうとか、ERP を強化して現場のフィードバックが効率的に集まるようにしましょうとかいうのは、この観点においてはあくまで 2 次的というか、まああったらいいよね、というレベルの瑣末な話です。

現実にその信頼関係 (無論、感情論ではなく仕組みとして) が築けない場合、とりうる手段は 2 つしかありません。1 つ目はもちろん信頼関係を築いて数字という事実でコミュニケーションをするという理想を目指すこと、もう 1 つはだましてデータを集めることです。今の見通しはどうなのよ、と聞かれるからついウソをついちゃうのであって、別の理由をつけて現場から直接データ収集しちゃうというのは有効な手ではあります。たとえば予算編成などのプランニング プロセスを全社共通インフラとして統一するとか。今日のデモでお見せしたような、Office PerformancePoint Server 2007 を使うと、日頃のプランニング プロセスを変えずにデータが全部サーバーに集まってきますから。

でも最終的には、経営者が正しい見通しに基づいて正しく戦略を修正し全社で共有、事実に基づくコミュニケーションを活性化させることで、「監視される組織」 ではなく 「統制のとれた組織」 を目指さなくてはなりません。これこそが真のパフォーマンス マネジメントであり、見た目は似ていますがこの 2 者の差は非常に大きいのです。そしてそれを理解はしていても、大人の事情で易き前者に流れることが多いのもまた現実、やはり強力なリーダーシップが必要です。システムは道具である以上、使う人によって価値が決まるものです。

米野宏明@マイクロソフト

※ 本エントリーの内容は筆者個人の見解に基づいており、マイクロソフトの見解を示すものではありません。

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プロフィール
米野宏明(Hiroaki Komeno)
マイクロソフトのBI関連製品担当プロダクト マネージャ。慶應義塾大学商学部 卒業後、直接金融時代の到来を予期して証券会社に入社するも、時代が早すぎた ようで3年で挫折、手に職をつけるため一念発起してITベンチャーに転身。デー タベース製品の営業、マーケティング、SEと幅広く経験するも、当該製品の開発 元が買収されたことをきっかけに諸事情あってやむを得ずマイクロソフトに移籍。 チャネルマーケティング、コンサルティング営業を経て現在に至る。経産省認定 テクニカルエンジニア<データベース>。日本CFO協会主任研究委員。
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