「とりあえず病」は飲み屋だけで

March 21, 2008 10:33 AM
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 飲み屋に行ったら、メニューを確認する間もなく、まずは「とりあえずビール」と注文するのが、我々呑んべぇの定番フレーズです。お酒を飲まない人にはピンと来ないかも知れませんが、もう完全な条件反射ですね。

 日本で一番飲まれているビールの銘柄は「とりあえず」、っていう冗談もあるくらいだし、客のほとんどが「とりあえずビール」を注文するのを聞いた外国人客が、そういうビールが本当に売られていると勘違いした、なんていう話すらあるほど(真偽は不明だけど)。

 あらためて考えてみると、この「とりあえず」にはいろんな意味が含まれている。

 まず、ビールを頼んでおけば失敗はないだろうという考え。いきなり日本酒や焼酎のようなアルコール度数の高いお酒ではリスクが高すぎますから、無意識にリスク回避をしているんですね、人間っちゅうのは。いや、のんべぇっちゅうのは。

 なによりも、食べ物(つまみ)の注文なんかは後回しにして、一秒でも早く飲みたいっていうところがいちばんの理由でしょう。仕事が終わったあとのビールは格別なんで、ちょっとの時間も待てないんですよ、人間っちゅうのは。いや、のんべぇっちゅうのは。

 さて、「とりあえずビール」は誰にも迷惑を掛けませんが、困っちゃうのがオフィスに蔓延している「とりあえず」病。結構厄介な症状のひとつが、メールを送るときに「とりあえずcc:に入れとくか」じゃないでしょうか。

 部署や客先とにメールを送るときに、上司のメールアドレスをcc:欄に入れる人も少なくないはず。「とりあえずビール」と同じで、とりあえずcc:しておけば状況報告がないことを怒られずに済むだろうというわけで、無意識に責任を回避しているのと同じ。

 何が起こるかは火を見るより明らかで、上司の受信メールボックスは未読のスレッドで溢れかえってしまう。「お前らな、なんでもかんでもメールを送ってよこすな!」って怒鳴っても、「だって、『必要か必要じゃないかはオレが判断する。どんな細かいことでもきちんと報告しろ!』と指示したのは課長ですよ」と切り返されてオシマイ。

 マネージャからすると、本来チェックしなければならない重要なメールが埋もれてしまうばかりか、逆に部下の状況把握もままならなくなってしまいます。いわゆる「情報の洪水」が起こっちゃう。

 このほかにも、共有サーバーを使わずにメール添付でファイルをばらまく、「とりあえず添付病」なんてのも。少し修正を入れましたと、バージョンの違うファイルがまた送られてくる。そのうち送ったほうも受け取ったほうも、どれが最新か分からなくなっちゃたりして。

 ありがちな話しなので見過ごされがちですが、こういう「とりあえず病」も、オフィスの情報共有・コミュニケーションを改善するきっかけだったりします。最近は、グループウェア的なアプリケーションも、電子メールやファイル共有から一歩進んで、このあたりをシステム的に対処する方法や、大幅に減らす工夫がいろいろ施されています。

 でも、実際に上司と部下とのコミュニケーションに問題があることも多いようで、結局は、「しっかり話しをせい!」ってことになることもしばしば。

 とにかく、会社の中に「とりあえず病」がはびこっていないか、改めてチェックしてみることをお勧めします。



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前川@ドリーム・アーツ

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前川賢治(Kenji Maekawa)
株式会社ドリーム・アーツ最高技術責任者(CTO)。大型汎用コンピュータ向け ソフトウェア製品の輸入商社である株式会社アシストにおいて、製品開発を担当。 1996年にドリーム・アーツ設立に参画。
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