日本の社会は通達で動いている

May 27, 2008 9:50 AM
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 最近は、暑かったり寒かったり、天気と雨とが交互にやってきていますが、新緑が本当に美しい季節になってきました。

 さて、話はだいぶ変わりますが、今日は大組織内でのコミュニケーションの話。

 日本の役所ってのは毎日膨大な数の通達文書を出しています。うちの製品を導入いただいている自治体のお客様などは、月1,000以上の通達文書が出されるそうですが、それぞれに、宛先や閲覧権限などが細かく設定されるもので、システム負荷たるや相当なものです。

 ちなみに、通達の起源は(本当かどうかは定かではありませんが)聖徳太子によって律令制が敷かれた飛鳥時代に遡るらしいとか。通達の目的は上意下達ですから、言われてみればそうかもしれません。まぁ余談。

 企業内でも、組織が大きくなればなるほど、多くの連絡文書が発行されています。管理部門が出す通知文書のほか、たとえば企画部門や販売部門から、新しいサービスや商品に関する情報が全国の支社や営業所に流されているはず。大企業が全国で均一のサービスを提供するためには、こういった連絡文書が大きな役割を果たしています。

 さて、こういった通達や連絡文書の発行・承認・閲覧、あるいは保存や検索といった処理は、かつての紙ベースから、今では当然のようにITシステムに置き換わっていますが、ここにいくつかの落とし穴があるんですね。

 ひとつは、通達のような書類は、一般に組織(たとえば管理部門)から組織(たとえば全国の支社)に向けて発行されるということ。ところが、グループウェアのようなシステムにしろ、ネットワークアカウントにしろ、コンピュータが管理しているのはあくまで個人。

 実は、個人を前提としたシステムに組織を前提とした通達の管理機能を実装するっていうのは、ソフト屋にとっては結構難しい問題なんですね。もともと「組織」とか「会社」って、実体のないモヤモヤした存在ですから、それを論理的なIT上に実装するのが難しいのは当然といえば当然。

 課長個人や部長個人を組織と見なしたり、特定の部課に属する全員に文書を配信するなどして、「組織→組織」を模擬的に運用することになるわけですが、何となくしっくり来ない感もある。

 もうひとつの落とし穴は、通達のような書類って、放っておくと誰も読んでくれないという点。だって、文字がずらっと並んでいて大量に送られてくるとなれば、見るのも嫌になろうというもの。しかも、掲示や回覧だと読むのに、モニタ画面での表示だと読んでくれなくなる。

 それでもなんとか読んでもらうには、別個にログインしなければならないようなシステムにするのではなくて、日常のワークフローの中に通達の新着お知らせや閲覧機能を組み込んでやる必要がある。ところが日々のワークフローなんてものは、人や企業(役所)によって全部違っているので、これもまた意外と難しい。

 とまぁ、通達や連絡書類が日本の社会を動かしている一方で、IT化にはここに挙げたようなさまざまな問題があるわけです。

うちの製品は大企業・組織向けに開発してますし、実際に導入いただいた事例も数多く、課題となる通達機能も、お客様の運用ノウハウや要望に鍛えられ進化してきました。それでも、もっといい知恵があるかも知れないと日々アイディアを練っている毎日です。


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前川@ドリーム・アーツ

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前川賢治(Kenji Maekawa)
株式会社ドリーム・アーツ最高技術責任者(CTO)。大型汎用コンピュータ向け ソフトウェア製品の輸入商社である株式会社アシストにおいて、製品開発を担当。 1996年にドリーム・アーツ設立に参画。
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