噂が真実であると分かった今、気になるのはLinuxへの今後の影響だ。もちろん、もしあればの話だが。
これまでの経緯を振り返ってみよう。Linuxが人気を博したのは、これが(IntelチップもしくはIntelチップと互換性のある製品を搭載している)一般的な商用ハードウェア上で稼働し、さまざまなタスクを処理するのに適したUnix風のオペレーティングシステム(OS)機能を提供したうえ、ほかのプロプライエタリ製品よりコストが大幅に低かったという理由によるところが大きい。Linuxはサーバ市場におけるポジションを確実なものにしており、今ではデスクトップ市場でも頭角を現し始めている。
一方のAppleは、サーバ市場/デスクトップ市場の両方で影響力を獲得しようとしている。同社のデスクトップ用OSがすぐれていることは周知の事実だが、Apple製の(高価な)PowerPCハードウェア上でしか動作せず、Windowsユーザーに親しまれている数々のアプリケーションを走らせることができないのが難点だ。
ここへ来てAppleはIntelを採用することに決めたが、事態はあまり変わらないだろう。何といっても、当のAppleには排他的なスタンスを崩すつもりはないらしく、Mac OS Xを利用したいというユーザーには、相変わらず一切合切をAppleから購入させる意向だ。CNET News.comのある記事に、「AppleのMac以外でMac OS Xを動かすことは認めない」という、AppleのシニアバイスプレジデントPhil Schillerの発言が引用されている。これはつまり、Appleのコンピュータには、Mac OS Xを利用するためには仕方がないとあきらめたユーザー以外は誰も払いたくないようなプレミア価格が適用され続けることを意味している。ローエンド製品であるMac miniでさえ、同様のDell製品と比べてまだ高価だ(AppleがIBMを見限ったことで、Appleユーザーは「でも、PowerPCはIntelよりずっと良いから」というお決まりのセリフすら吐けなくなった)。
Linuxはこれと逆で、Windowsを稼働させているコンピュータで試用することができる。予算を気にすることなく、ISOイメージをいくつかダウンロードするか、ボックスセットを購入するだけで、すぐに利用を始められるのだ。これがうまくいかなくても、数ドルの費用とテスト期間以上のものを無駄にしていないのだから、いつかまた時が来ればLinuxを利用しようという気にもなるかもしれない。
機器やOSの乗り換えには、相応の時間が必要になる。Intelを採用したことで、Apple製品が価格面でDellやその他のPCベンダー製品と競合できるようになるとしても、それを待ち続けるわけにはいかない。2年間もあればいろいろなことが起こるだろうが、Linuxは引き続きデスクトップ分野の改善に力を入れ、Appleは同社の「Leopard」関連の作業を進めることになるだろう(OS Xの次バージョンがリリースされるときには、「姿を変えるLeopard」といった見出しのニュースがあふれかえるに違いない)。
Appleは渋い顔をするだろうが、同社がIntelの採用を発表したことで、ユーザーが「旧式の」アーキテクチャに基づくAppleコンピュータなど欲しくないと考えるようになり、当面は売上が低迷する可能性がある。同社が、ユーザーが「ユニバーサルバイナリ」に関して望んでいたものすべてを提供できると主張したとしても、すでに生産中止が決定しているコンピュータを買いたいとは思う者は多くないだろう。新製品が市場に投入されるとなると、マーケットの当該分野はその製品が流通するまで一時的に停滞する。だが、一部の人々にとって2年間は長すぎる。わたしなど、平均で8カ月ごとに新しいコンピュータを購入しているくらいだ。もっとも、これも標準的とは言い難いのだが(ちなみに、わたしが前回購入したのは、iMacの20インチモデルである)。
Appleが今回の決定から得られるメリットは、よく見積もってもせいぜいデメリットと相殺できる程度のものになりそうだ。わたしは、AppleがIntelを採用したことで、デスクトップ向けLinuxの未来に暗雲が立ちこめたり、サーバ市場におけるLinuxの地位が脅かされたり、あるいはMicrosoftが自分の土俵で打ち負かされたりする可能性はごく低いと考えている。AppleがMac OS Xをどのx86ハードウェア上でも動かせるようにするならば、話は別だ。だが、Mac OS Xを利用するためだけにMac一式を購入しなければならない現状では、Appleが世界を席巻することはないだろう。OSとハードウェアを切り離せないものとして見るAppleの戦略が正しいのかどうか、長々と議論することはいくらでも可能だ。しかし、既存マシンに129ドルのOSを購入してインストールする代わりに、OSを利用するためだけに500ドルを支出して新しいコンピュータを買い求めるようユーザーを納得させるのは、並大抵のことではない。
余談だが、AppleはPowerPCプロセッサを見限ったものの、PowerPCマシン上で動作するLinuxディストリビューション「Yellow Dog Linux(YDL)」では、同プロセッサのサポートを続けるようだ。AppleがPowerPCベースマシンの販売を中止したのち、YDLがどうなるのか、注目していきたい。
※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。
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