これから語るのは、実際にあった話だ。
先日、友人が電話をかけてきた。あるGPL(General Public License)準拠コードを数千ドルかけてカスタマイズしたのだが、その金を取り戻す方法を知りたいという。「どうやって売ったらいいかな。かなりの金額をつぎこんだんだ」と、彼。
売ることはできないんだと、わたしは彼に告げた。彼が改造したツールはGPLに準拠しているのだから、販売するのは不可能である。それどころか、彼はオリジナルのツールを入手したサイトに、新しいコードを提供しなければならなかったのだ。
友人は驚愕していたが、どっちみちわたしは元のツールのほうがすぐれていると思っていた。
もとい、自分で構築したサイトにサービスを設置することは可能だし、広告を売ることもできるし、改良したソフトウェアを利用して他のサイトをホスティングしてもかまわない。コードを販売できなくても、投資を取り戻す手だてはいくらでもあるじゃないかと、彼に話した。
「これを動作させるの何千ドルもかけたんだぞ!?」と電話越しに訴える彼の声には、悲壮感がにじんでいた。
だがこれは、よくあることなのだ。オープンソースのコードを使って何か便利なものを開発するのは、高くつくのである。プロプライエタリツールを利用するときと同じ問題が、オープンソース開発界に優秀な人材を引き入れ、引き留めておこうとする際にも起こる。むしろそのための初期コストは、有料ソフトウェアに支払うコストを上回ってしまう可能性もある。さらに、強化を施した機能は還元しなければならないことから、見返りも小さくなる。
それならどうしてそんなことをしないといけないのだろうか。
ベースにしたツールのことを考えてみてほしいと、わたしは友人に言った。プロプライエタリ製品は、投資した以上のコストがかかるものだ。修復やアップグレードがリリースされるのを待つ必要もある。自分ではそうした作業を行えないのだから。それに、友人が行った「改良」の大半は既存のモジュールを多少いじっただけであって、ツールが元々置かれていたサイトにも同じものがあった。
要は、「無料」のソフトウェアは本質的には無料ではないということだ。開発に着手するにはコストがかかり、近道もない。開発には組織ではなく才能が必要で、才能には金がかかるのである。
どうしてそんなことをするのかだって? それは、本来のスタート地点より進んだ場所から物事を始められるからで、完成した製品もさらに開発が進められている製品も、思い通りにコントロールできるからだ。開発コミュニティの存在が、ソフトウェアを個人的にアップグレードするときの近道を提供してくれているからだ。
安価だからじゃない。安価じゃないからだ。
そう、よりすぐれているからなのだ。
(Dana Blankenhorn)
※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。
- 前のエントリー: Sonyのrootkitがオープンソースを利用
- 次のエントリー: 協力者募集中--過程を重視するGPL第3版
「ZDNet.com オープンソースブログ」 のバックナンバー
-
真の「オープンソース候補」はだれか?
ブログサイト「Vanduska」は、バラック・オバマ氏こそが“オープンソース候補”だと論じている。 同サイトが引用している、Googleによるオバマ氏へのインタビューによれば、イリノイ出身の同大統領候補は、ネッ... -
L・トーバルズ、マイクロソフトの「特許恐喝」を一蹴
-
OpenOfficeよ、友の手を取れ
-
胸襟を開く時代
-
マカフィー、オープンソース訴訟への懸念を牽制
- ZDNet.com オープンソースブログ 一覧へ »
ZDNet Japan Essential Topic
-
【おススメのIT求人情報を掲載中!】
業界を代表する各社のインタビューも公開中 -
ERPは企業の期待に応えたか?
ERPの導入に迷われている方はこちらへ
企画特集
-
ネットビジネスの変遷とサーバ管理の変化
CNET Japan編集長が聞く、アウトソーシングの有効性 -
グリーンデータセンターの新潮流
GreenITの国内外の今の動向がわかる! -
REAL IT COOL PROJECT
地球環境にやさしいITプラットフォームを目指して -
17年ぶりに進化したファイアウォール
750以上のアプリケーションを識別してブロック -
情報大洪水時代を生き抜くソリューション
最新の企業内検索ツールでビジネスプロセス改善 -
次のキーワードは、SOIとITFM
カスタムメードのグリーンITのススメ -
日々のルーチンワークを自動化する方法
JP1での業務自動化 → コスト削減+企業力アップ -
ビジネスでも使えるスマートフォンアプリ
オンでもオフでも使える!充実のアプリケーションを紹介 -
これからのERP・CRM・SFAの姿とはー
種類・提供形態・価格の多様化で選択肢が広がっている -
日本企業が抱える3つの課題とは?
それに答えるインフォアのソリューションを紹介!! -
二度手間とミスばかりのデータ管理は嫌だ!
Webデータベース「働くDB」でカンタン業務改善! -
価格から質へと変わるアウトソーシング市場
多様化ニーズに応えるマネージドサービス -
あの開発者の仕事が早いのはなぜ!?
C/C++の開発を効率化する究極のツールはこれだ! -
メーカー型番で選べる専用サーバ
料金改定!よりお求めやすい価格に! -
レプリケーションによる災害復旧対策!
日本CA ARCserve Replication -
所有から利用へ。拡大するiDC市場
サービス開始から12年!信頼のさくら -
ERP,CRMのレスポンスの遅さを劇的改善!
リバーベッドのWAN高速化を徹底レポート -
MicrosoftもOracleもDWH市場に参入!
3年間で40社以上への国内納入実績を持つ強みを解説 -
エンタープライズサーチ特集!
ConceptBase、SMART/Insight、Accela BizSearch -
なぜ、ERP 導入は敷居が高いのか?
【事例】マイクロソフトのERPによる日本の商習慣対応 -
大規模システム対応のホスティングとは
SNSや動画共有サイトにも活用されています! -
運用管理こそ業務の背骨
メール・情報共有をシステムダウンから守る運用管理
-
マルチコア – インテルがどのようにそれを機能させ重要なものにしているか
2008年11月4日 -
マルチコアの考え方で設計を始める時期は早すぎることはない
2008年11月4日
