デザートは期待通りの素晴らしいものだった。控えめの甘さのガトーショコラにさっぱりとしたカシスのシャーベット。器を彩るソースにもしっかりとした味がついていた。
そしてコーヒーの追加を頼み、ホッと一息。
俺は頭の中で廻らせていた考えを須藤さんに話し出した。
「例えばプロモーションとしてセカンドライフに参入…というのもいいけれど、メーカーとして参入するには何が一番有効で、かつセカンドライフの枷を最大限に利用できるのか。これを考えた場合その先に、例えば社員同士で開発前の製品のイメージや試作を共有したり、プレゼンなんかをするのもありだと、僕は思うんです」
さっきまでの俺とは打って変わり、息を吹き返した俺の言葉に須藤さんは目を細めて頷く。
その隣でさくらも、俺に提案する。
「そうね、IBMなんかもセカンドライフ内で全世界会議を開いているわ。実際社内プレゼンもセカンドライフ内で行なう事で印象も良くなり分かりあえる。これなら頭の固いナントカ部長も理解が出来る。何より模型を作ったリというコストもかからない」
「だろう?」
「でも……それが実際売り上げに繋がるかは微妙よね」
さくらの指摘に俺もその難しさに頷いた。
社内でのプレゼンは通っても、実際の売り上げに繋がらないとこの事業の意味がない。
なんらかの収益・収穫があってこその成功だ。
少々の討論をさくらと交えていると、須藤さんが低くよく響く声で語りだした。
「そうだね、例えばマツダなんかは実際には作られていないコンセプトカーを無料でセカンドライフの中で配ってプロモーションしたり、ユーザーの反応を見たりしている。製品開発前の反応を知る事は充分メリットがあると思うし、何より、そのデータはビューアーが無料だから社員でも一般ユーザーでも世界中のあらゆる人が見るからね」
「なるほど、セカンドライフを通すと全世界の多種多様な人に自然とアプローチできる。時間や時差、場所に囚われる事なんてない」
「そう、それによって他部署の人間を巻き込んだり、もっと広く一般ユーザーや異業種の人を巻き込んだりできる。そこから思いもよらない何かが発掘できるだろう。匠君とさくら君なら必ず、ね」
俺の理解力に須藤さんは満足と言った表情だ。
答えを知っているが俺やさくらに考えさせ、質問と回答を誘導させる。そのやり取りを須藤さんは楽しんでいるようだった。
セカンドライフの可能性を突いていくと、俺は自分の心が浮き足立つのが分かる。
その未知の世界に俺は希望と期待か膨らみ、少年の頃の冒険心を取り戻したような気分だった。
(このブログの著者でもある大槻透世二さんがSecond Lifeでの「ものづくり」を紹介する「Second Life 新世界的ものづくりのススメ」。第24回は、『テクスチャアニメーション応用1』。こちらもご覧ください)
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