「ディズニーランドか……」
さくらとの約束の日を数日後に控え、俺は複雑な気持ちだった。
二人きりの初デート……とまでは言いがたいマーケティングの勉強。
そのさくらの意図をどう捉えていいのか、俺には図りかねたのだ。
「ま、なるようになるか」
俺は淡い期待をなるべく持たないように、自分に言い聞かせパソコンに向き直った。
昼休みを終え、気だるげな午後の時間帯。
営業が出払い少し閑散とした社内で、俺に気を配るものは誰もいない。
俺はその隙間にすべり混むようにSLにインをする。
さくらとのデート(勉強?)まで数日ある。
それまでちょっと予習といくか。
俺は調査がてら、企業SIMと一般のSIMを回ってみることを思いつく。
今までものづくりに熱中していたせいか、ほとんどセカンドライフ内を旅していない。
これから戦場に向かうというのに、敵地の状況を把握すべきだろう?
いくら最新の戦車を持っていたって、羅針盤がなくちゃ赤子も同然。
俺は宛てのない旅をすることにした。
とはいっても、今までの知識では行けるところは限られている。
まずはNissanの島に行ってみよう。
良くマスコミなんかで取り上げられる際眼にする、あの『自動車の巨大自動販売機』の島だ。
地図モードで『Nissan』を検索しテレポートすると、お目当ての巨大自動販売機をすぐに目にすることが出来た。
俺はリアルの世界と同じように、敵地に市場調査をかける。
島4つ分の広大な土地に、しかと設定されたテーマ。
迫力の世界にわがドリームインターフェイス社の将来を重ねる。
しかしこれだけしっかりとした島なのに、訪れる人はまばらだ。
時々人が現れ、また消える。
これが成功といわれた『Nissan島』の姿。現実なのだ。
「……集客は予想以上に難しいか………」
集客数が問題ではないと分かっていながらも、俺の眉間には自然と皺が寄っていた。
気を取り直し俺はここに集まる客のニーズを調査。……なんて、次々と現れる人に声をかける。
「どうしてここに来たのか」
「何を求めているか」
「面白い場所を知っているか」
つたない英文を打っていると、時々逃げられたり無視もされるが、以外にも大抵の人は親切に俺の言葉に返してくれる。
どうやら俺と同様の初心者が多いのかも知れない。
皆求めているものが分からず「とりあえ、ここへ」君ばかりだ。
そんな中、黒のライダースーツに緑のモヒカン……といった少々奇抜な格好の青年に出あった。
「ナイスな格好だね」
と、彼の服装を褒めたら、その新着したばかりのライダースーツの店を教えてくれた。
彼がくれたのはショップが連なるファッションモールの地図。
俺は早速その場所に行くことに決めた。
そしてそれが、彼女との出会いへの扉だったんだ。
(このブログの著者でもある大槻透世二さんがSecond Lifeでの「ものづくり」を紹介する「Second Life 新世界的ものづくりのススメ」。第27回は、『パーティクル1』。こちらもご覧ください)
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