SOAスイートの誘惑に打ち勝つ!

 もしかすると、ベンダーの製品は緊密に統合されすぎていて、返って逆効果なのではないだろうか。もちろん、SOAについての話である。

 SOAは本来、パッケージERPやCRMシステムような形で「買う」ものではない。第一に、SOAは(高度な意味では)哲学であり、(実務的なレベルでは)方法論であるため、単独の製品としてとらえることはできない。第二に、「パッケージ化された」SOAスイートを買うという考え方は、あらゆるベンダーおよびサービス企業のソリューションを自由に交換できるとする、SOAの基本概念に反する。第三に、高価なパッケージアプリケーションを購入してしまうと、多くの企業にとって最善の道である「初めは小規模に」という方向から外れることになる。

 にもかかわらず、多数のベンダーが自社製品を「サービス対応」にして、SOAを表面的に実現する近道へ顧客を誘導している。

 インフラストラクチャやアプリケーションスタックの中核におけるSOAへの取り組みを大幅に進めてくれることから、こうしたパッケージは企業にはきわめて魅力的に映るはずだ。

 Judith Hurwitz氏は最近の自身のブログで、SOAの購入と構築についての賛否を論じ、パッケージアプリケーション製品を介してSOAに移行することにCIOが戸惑いを感じるのも無理はないと述べた。とりわけ次の問題は、よくよく考えねばならない。

業界のベストプラクティスやビジネスプロセス、ミドルウェアをひとまとめに詰め込んだパッケージソフトウェアを導入すると、どのようなメリットが得られ、どのようなデメリットが生まれるのだろうか。こうしたアプローチがもたらすチャンスとリスクとは何か。同様に、少しずつパーツを買い、それらを組み合わせることに危険はないのだろうか。

 Hurwitz氏は、OracleやIBMやSAPから統合性の高いソフトウェアスイートを購入する「最も楽な道」を選ぶことは、CIOにとってきわめて魅力的であるにちがいないと認めている。それでも、こうした誘惑に負けてはならないと同氏は言う。本稿の冒頭で指摘した通り、Hurwitz氏も、「新たな事業プランもしくは新たな革新的技術に基づき、コンポーネントを簡単に加減できる」柔軟なモジュラー環境を作り上げることが、SOAの本質だと主張している。

 IT管理者やCIOは、パッケージソフトウェアを「戦略の要」に据えるのではなく、SOA戦略全体の一要素として見るべきだという。パッケージアプリケーション環境からSOAを拡大していく代わりに、包括的なビジネス戦略とエンタープライズアーキテクチャを創造し、そこから始めるのがよい。

 同氏はさらに、出来合のSOAソリューションは確かに便利だが、「パッケージSOAを利用するには外環境はまだ複雑すぎるので、日用化したものを購入していかざるを得ない」と付け加えた。

 実際のところ、単独ベンダーによるSOA環境というフレーズは、大きな小エビと同じくらい、あるいはコンピュータをシャットダウンするのに「スタート」ボタンをクリックするのと同じくらい矛盾をはらんでいる。だが、過半数とまではいかずとも多くの企業が、1社のベンダーと取引することに安心を感じ、ベンダーが示すSOAロードマップに従っているのが現状だ。そんな彼らが、安全圏から離れる冒険をあえてするだろうか。SOAとは結局、企業全体を再編成する変容的なプロセスであり、企業幹部がベンダーパートナーの導きなしにこれを敢行しようと考える可能性は非常に低い。それと同時に、独立への重要なステップでもあるのが、SOAなのである。

(Joe McKendrick)

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多くのシステムベンダが次々とサービス指向アーキテクチャ(SOA)のサポートに名乗りを上げています。このコーナーでは、SOAの概念や具体的なビジネス面でのメリット、業界の動向についてお伝えします。
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