このところ、SOAの業界内では、エンタープライズサービスバス(ESB)の目的と利点をめぐって、いろいろな論議が交わされると同時に、混乱も起こっている。ESBは「SOAハイウェイ」に乗るための手軽な入り口だという人もいれば、邪魔な存在だという人もいる。だが、一番大きな問題は、いろいろなベンダーが提供するESBが乱立していることだ。これらのESBは、SOAの本来の目的を妨げ、
統合プロジェクト内で、余分なフェーズを発生させている。
このややこしい状況を解決するために、Apache Software Foundationは、プロジェクトSynapseを発表した。このプロジェクトは、オープンソースのESBを作成するためのもので、支持者たちは、このプロジェクトが、仲介フレームワークを必要とするSOAの標準化を促進し、ベンダーがそれらを実現する製品群を提供するようになるものと期待している。
Synapseプロジェクトで積極的に活動しているInfravioのMiko Matsumuraに、ESBに対する懸念や反発を、Synapseがどのようにして軽減できるのか尋ねてみた(InfravioはSynapseにコードを提供している)。彼によると、SynapseはESBと似た機能を多く備えてはいるが、同プロジェクトでは「ESB」や「ブローカー」という名称の使用を避けることにしたという。
Matsumuraは、「(Synapseは)完全に機能するWebサービスの仲介役をするものだが、これをESBと呼ぶことは避けた。われわれは、あまりにも多くの企業が『これはESBだ』といって製品を出していることに問題を感じている。あれもこれも、どれでもESBだというのであれば、一体それらの共通点は何なのか、なぜみんなそれがESBだと呼べるのか、ということになる。(Apache Synapseでは)こういう名称の問題を避けるため、もっと中立的な用語を使うことにした。『ブローカー』というのではちょっと含みがあるし、『ESB』というのは硬くてごつごつした感じがする。『仲介役』というのが、もっとも政治的な色合いの薄い用語のように思われる」
このプロジェクトを率いる新興企業WSO2の創業者たちは、Apacheプロジェクトに深く関わってきた人物だ。Synapseを支援している、あるいはコードを提供しているベンダーにはInfravioのほか、Blue Titan、Iona、Sonic Softwareなど、ESB業界のトップ企業がある。
Synapseは、Apache Axisツールキットと連携して、SOA内部での仲介役として機能するようにも設計されている。「こういう仲介機能は、WSDL、WS?Addressing、WS-Policy、WS-Security、WS-RealiableMessagingなどを利用したコアなWebサービスと連携するように設計されている。将来のWebサービスには必ずSynapseが存在するようになる」とMatsumuraは述べる。
仲介役の仕事は、「(サービス提供者と消費者との)間に立って、3つの基本的な機能を果たすことだ。1つはダイナミックなロードバランシングとルーティングだ。これは、粗結合のパラダイムに結びついている」とMatsumuraは付け加える。2つ目の役目はデータ変換で、3つ目はシステム管理だ。「仲介役を使わなければ、基本的には、SOAではなく、ただポイントツーポイントのWebサービスを行っているだけだ。SOAを行うには、自分のサービスの概要を把握していて、レジストリやポリシーを利用してそれらのサービスを再利用できるようにしなければならない。仲介役というのは、問題を解決するための重要な部品なのだ」(Matsumura)
GartnerのアナリストもSynapseに注目しており、Synapseテクノロジーが現場で使えるようになるのは2006年になりそうだと述べている。Gartnerでは次のように分析している。「Synapseの製品群は、初めのうちは、パートナー企業が独自の機能を拡張したり、『閉じられた』製品と統合したりできる、埋め込み可能なコアのESBを提供したりすることを目標にしている。Apache Software Foundationが関係していることで、このプロジェクトの信用度は増すだろうが、それぞれ異なった意向を持つベンダーが協力して同じプラットフォームを作り上げるためには、Synapseの前にはたくさんの試練が待ち受けている」
(Joe McKendrick)
※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。
- 前のエントリー: 「幻滅期」迎えるSOA--ガートナーが先進テクノロジのハイプ・サイクルを発表
- 次のエントリー: ESBに対するマイクロソフトのスタンス
「ZDNet.com SOAブログ」 のバックナンバー
-
SOAスイートの誘惑に打ち勝つ!
もしかすると、ベンダーの製品は緊密に統合されすぎていて、返って逆効果なのではないだろうか。もちろん、SOAについての話である。 SOAは本来、パッケージERPやCRMシステムような形で「買う」ものではない。... -
SOAとEAとBPM――その差はどこに?
-
SOA+Web 2.0=ビジネスIQアップ!?
-
予算カット? だったら、ゲリラSOAがオススメ!
-
予算削減――SOAを切る? それとも生かす?
- ZDNet.com SOAブログ 一覧へ »
ZDNet Japan Essential Topic
-
【おススメのIT求人情報を掲載中!】
業界を代表する各社のインタビューも公開中 -
ERPは企業の期待に応えたか?
ERPの導入に迷われている方はこちらへ
企画特集
-
グリーンデータセンターの新潮流
GreenITの国内外の今の動向がわかる! -
REAL IT COOL PROJECT
地球環境にやさしいITプラットフォームを目指して -
ネットビジネスの変遷とサーバ管理の変化
CNET Japan編集長が聞く、アウトソーシングの有効性 -
日々のルーチンワークを自動化する方法
JP1での業務自動化 → コスト削減+企業力アップ -
二度手間とミスばかりのデータ管理は嫌だ!
Webデータベース「働くDB」でカンタン業務改善! -
日本企業が抱える3つの課題とは?
それに答えるインフォアのソリューションを紹介!! -
17年ぶりに進化したファイアウォール
750以上のアプリケーションを識別してブロック -
これからのERP・CRM・SFAの姿とはー
種類・提供形態・価格の多様化で選択肢が広がっている -
情報大洪水時代を生き抜くソリューション
最新の企業内検索ツールでビジネスプロセス改善 -
ビジネスでも使えるスマートフォンアプリ
オンでもオフでも使える!充実のアプリケーションを紹介 -
あの開発者の仕事が早いのはなぜ!?
C/C++の開発を効率化する究極のツールはこれだ! -
次のキーワードは、SOIとITFM
カスタムメードのグリーンITのススメ -
価格から質へと変わるアウトソーシング市場
多様化ニーズに応えるマネージドサービス -
なぜ、ERP 導入は敷居が高いのか?
【事例】マイクロソフトのERPによる日本の商習慣対応 -
大規模システム対応のホスティングとは
SNSや動画共有サイトにも活用されています! -
メーカー型番で選べる専用サーバ
料金改定!よりお求めやすい価格に! -
運用管理こそ業務の背骨
メール・情報共有をシステムダウンから守る運用管理 -
レプリケーションによる災害復旧対策!
日本CA ARCserve Replication -
ERP,CRMのレスポンスの遅さを劇的改善!
リバーベッドのWAN高速化を徹底レポート -
エンタープライズサーチ特集!
ConceptBase、SMART/Insight、Accela BizSearch -
MicrosoftもOracleもDWH市場に参入!
3年間で40社以上への国内納入実績を持つ強みを解説 -
所有から利用へ。拡大するiDC市場
サービス開始から12年!信頼のさくら
-
マルチコア – インテルがどのようにそれを機能させ重要なものにしているか
2008年11月4日 -
マルチコアの考え方で設計を始める時期は早すぎることはない
2008年11月4日
