2006年は、SOAの支持者たちにとって実りある年だった。多くの組織で、試用段階にあったSOAが実際に稼働するようになったのである。さまざまな企業のSOAに対する取り組みを見れば、その価値は手に取るように分かる。今回は、これまで本ブログで紹介した顕著な事例を抜粋して振り返ってみよう。
基幹システムからエンタープライズデータを抽出する
eBayは、ソフトウェアベースのインテグレーション層としてSOAを構築し、2ペタバイトを上回るデータを管理している。これは、米国議会図書館が扱っている情報量の200倍に相当するという。eBayのサイトは600万行以上のコードから構成されており、2週間ごとに10万行ずつ新たなコードが追加されている。さらには、毎週3万個ものソフトウェアが作られているそうだ。eBayのシステム開発担当バイスプレジデントJames Barrese氏は、「われわれは、コンポーネント志向アーキテクチャとサービス指向アーキテクチャの両方の技術を活用している」と話し、「異なる技術スタックを統合できるよう、1つのサービスアーキテクチャを構築した。例えば、サービスを介してC++およびJava技術を相互連係させることができるようになった」と説明している。
波風を「立てろ」――ITとビジネスを結びつければ、ビジネスの生産性は向上する
Wachovia BankでIT改革に力を尽くしているスタッフたちは、SOAの手法を「波風を立てる」ために利用し、同行の企業文化を変えた。WachoviaのSOAは、組織全体で再利用できる業務サービスおよびフレームワークから成り立っている。この再利用可能という点が、改革運動の原動力となった。最高情報責任者(CIO)を務めるSusan Certoma氏によれば、同行では「デスクトッププレゼンテーションからデータ管理、ワークフロー管理、顧客情報管理に至るまで、似たような機能を各部門が繰り返し開発していた」という。SOAが同行にもたらした最大のメリットの1つは、投資仲介業務における生産性の向上だ。以前は「Excel」を使って取り引きのモデル化を行っていたが、この作業には30分から数時間もかかっていた。こうしたところへ新たな共有サービスを採用したことで、開発者は高パフォーマンスなモデル化アプリケーションをひとまとめにでき、結果的に数分で作業を終えられるようになった。またほかの営業系部門では、通常なら一から設計し、完成させるまでに6〜12カ月はかかる株式関連デスクトップアプリケーションを、わずか90日間で開発できたそうだ。
運用コストの削減
Hewlett Packardは、SOAの運用により7000万ドルにおよぶコスト削減を達成した。同社によれば、早々に資本を回収できたのは、SOAがコンソリデーションを実現し、重複を排除し、サービス全般の再利用を可能にしたからだという。HPのSOAサービス担当執行責任者Terri Bennett Schoenrock氏は、導入当初から、少なく見積もっても100万ドルを節約できていたと話している。「SOAの運用を始めたと同時に、コスト削減効果が現れた。電子ビジネスセンターの立ち上げてほんとうにすぐに、ROI(投資収益率)が計測できたのである。第一四半期からROIが出始めるなど、とても考えられなかった。トランザクション処理も半分で済むようになるなど、SOAの『効き目』の速さには驚かされた。導入から1年で、詐欺などによる損失が減り、100万ドルのコスト削減がかなった」(Schoenrock氏)
増え続けるトランザクションを、可能なかぎりシンプルに処理する
オンライン小売企業Amazonには、今や6000万人にまで膨れあがった顧客と100万社ものパートナーを扱っていくための、柔軟なアーキテクチャが必要だった。同社は従来メインフレームを使用してきたが、これでは用を足せなくなってしまったと、国際アーキテクチャ担当バイスプレジデント兼CTOのWerner Vogels氏は説明している。数年以内には、トランザクションレイヤーを形成し、小売業者のデータベースを保護しながら、オンラインビジネスアプリケーションを運用できるWebサービスが登場するだろう。Vogels氏は、「当社では、SOAという概念が流行になる前からこれを利用しており、サービス指向はうまく機能している。サービス指向なしには、Amazonのプラットフォームは構築できなかっただろう」と述べている。同氏はまた、Amazonの開発者はサービスをできるだけシンプルにすることを常に心がけており、1種類の技術や標準には依存しないようにしていると話した。
SOAはおとぎ話に過ぎないと言う者もいるが、いかにやっかいなテクノロジーを用いているとしても、必ずや希望はあるのだ。
(Joe McKendrick)
※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。
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