映画「ウォール街」のキャラクターであるゴードン・ゲッコー風に言うなら、SOAは「蚤のたかる犬」といったところだろうか。企業はついに、社内に存在する各種の隔たりを取り除くツールとノウハウを手に入れ、新たなデジタル時代に自信を持って臨めるようになったとアナリストが考えるのは、早計に過ぎるのだろうか。大企業の乗っ取りを生業とするゲッコーでも、やはりSOA企業には食指を動かさないのだろうか。
Global Equities Researchで株式リサーチ担当マネージングディレクターを務めるTrip Chowdhry氏が、ZDNetのブログ記者Dana Gardner氏の「SOA BriefingsDirect」ポッドキャスト会議に参加し、Chowdhry氏を含めたウォール街の関係者がベンダーのSOAに関する売り文句を買わない理由を語った。
ベンダーに対するChowdhry氏の要望は、単純かつ明確だ。SOAを売り込むなら、もっと詳しく説明してくれというのである。SOAの概念には有望な要素がいくつも含まれているのに、ベンダーはそれをうまく表現できていないと、同氏は言う。「SOAは確かに1つのトレンドになったが、ベンダーが発するメッセージや提供している製品は複雑すぎる。ユーザーに、既存の取り組みとSOAの取り組みが連係し、共存できることを理解してもらうためにも、ベンダーはさらなる単純性を追求すべきだと思う」(Chowdhry氏)
Chowdhry氏は、複雑なSOAを提供している代表選手として、SAPを挙げた。「実装サイクルがきわめて長いSAPのような製品では、コンポーネントなどの入れ替えが頻繁に起こる。SAPに限らず、多くのSOAベンダーが抱えている問題は、そうした複雑な製品の複雑性を解消するのに、複雑なソリューションを提供しようとしている点だ」(Chowdhry氏)
言い換えれば、SOA市場の大手ベンダーは、自社ブランドの「大きなSOA」を売り物にしていることになる。彼らが提供しているのは、実際に機能することが証明され、そこから作り上げるタイプの、機能性に富み、単純明快で、特定のベンダーに依存しないパイロットプロジェクトや管理性にすぐれたソリューションではない。機能性に富み、単純明快な、パッケージ済みの(もしくはダウンロード可能な)製品でもない。
SAPばかりでなく、オラクルもIBMも大きなSOAを提唱している。皮肉にも、これらの企業とは対照的なメッセージを発しているのが、「悪玉大企業」のMicrosoftだ。同社は、他ベンダーが推奨している「巨大科学」式アプローチは、SOAによるSOAのためのものであり、ビジネスの価値を高めるものではないと主張している。
興味深いことに、Microsoft以外のベンダーは、常に大企業に照準を合わせる一方で、大衆市場は再三取りこぼしてきた。Microsoftはここに目を付けて強力な製品販売キャンペーンを仕掛け、市場を支配したのである。JBoss、Mule、OpenBPEL、Apacheといったオープンソースベンチャーもまた、大衆市場にビジネスの基礎を築くことに成功した。
大きなSOAを提唱している企業は、早期導入事例をかき集めることに余念がないが、大衆市場におけるSOAの可能性はまったく念頭に置いていないと、Chowdhry氏もポッドキャスト会議の中でほかの問題とともに指摘している。「大々的な普及を実現し、成長には欠かせない製品導入の第二波を起こすためには、製品そのものとメッセージをシンプルにしなければならない。そのソリューションを用いていったい何ができるのか、箇条書きにして示す必要があるのだ。われわれが調べたところでは、NetWeaverやSAPをはじめとするSOAベンダーが今日発進しているメッセージは非常に複雑で、CIOですら理解に苦しんでいる」(Chowdhry氏)
ポッドキャスト会議に参加したNeil Ward-Dutton氏は、CIOたちは「SOAがほしい」と言っているわけではないと話す。それなのにベンダーは、実際の製品も確固たる需要もない製品カテゴリを、突貫工事で作り上げようとしている。その結果として、SOA市場には「これこそSOAだ」とはっきり言い切れるベンダーがいないのだと、Chowdhry氏は苦言を呈している。「例えば、データベースと呼ぶことのできる製品は存在するが、SOAはいまだにコンセプトのままだ。こうした現状を受け、ウォール街もSOAを正当に評価したり、太鼓判を押したりすることに抵抗を感じている。苦境に陥っている企業でも、SOAを標榜することはできるというのが、ウォール街の見方だ」(Chowdhry氏)
(Joe McKendrick)
※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。
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