オラクルのRedHat Linuxサポート戦略の真意

October 26, 2006 03:20 PM
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21日よりサンフランシスコで開催されているOracle Open Worldに参加した。本日25日、Oracle CEOであるラリー・エリソン氏のプレゼンテーションを聞いた。内容は、Linuxに関し、Red Hatユーザへの低額の乗換えという新しいサポートサービスを行う、という発表である。

(サーバの)OSとして、低額のOSであるLinuxが大きく進展し、今後、Linuxベースソリューションの市場が大きく拡大すると期待していた。しかし、最近シェアを奪われ、市場の拡大が鈍化してきている。その理由として、Linuxの信頼性の問題が大きな障害になっているということだ。もともと、Linuxはオープンソースなので、仮にバグがあったとしても、すぐに修正されるというメリットがある。しかしながら、実際には、Red Hatなどのベンダーサポート付のパッケージを通じて導入しているユーザが多い。そのため、大もとのバグが修正されたとしても、ベンダーから提供されるパッケージでは、リバイズ版の提供に時間がかかったり、ユーザがリバイズ版を入手するのにコストがかかるため、実際には、バグを修正した最新バージョンを入手して、リアルタイムによるアップデートしたものを利用できているユーザは非常に少ない。結果的に、バグを抱えたままの旧バージョンの利用を強いられているユーザが少なくなく、Linuxに対する信頼性を失い、Linux版OracleDBの売れ行きも芳しくないということだ。その打開策として、Linuxサポート企業大手であるRed Hat版のLinuxから、Oracle版のLinuxへの乗換えを、1サーバあたり年間99ドルという、100ドルを切る低価格で行おうというものだ。

一見、Red Hatに真っ向から対抗し、LinuxですらOracleは覇権を取ろうと考えているような戦略に見える。

しかしながら、私見ではあるが、Oracleの真の狙いは別のところにあると感じた。DBやその他ソフトウエアのシェアを維持するための、一つの方策ではないかと感じた。最近、OracleDBは、MySQLとかPosgreSQLなどオープンソースDBの出現により、シェア低下を招いている。プライスが高いという問題から、ユーザは、最近機能的に向上してきたオープンソースDBに乗り換えるケースが少なくなく、OracleDBの売上拡大が鈍化している。これまでOSとしてLinuxが伸びると期待し、それにあわせてLinux版OracleDBを提供してきたが、思ったように伸びていない。OracleDB自体のシェアの拡大に歯止めがかかっている。こうした事態に対し、大きな危機感があるのだと考えられる。Oracleは、DBベンダーからスタートし、数々のエンタープライズソリューションベンダーのM&Aを通じて、総合エンタープライズソリューションベンダーに変身した。しかしながら、創業ビジネスであるDBソリューションでの覇権の維持には、ラリー・エリソン氏自身のこだわりと、ライバルに対する並々ならぬ対抗意識があるものだと感じられた。

それに対する一つの打開策がRed Hat乗り換えサービスではないかと思われる。Linuxの信頼性の向上と、それによって、システム全体の低価格化を実現することで、OracleDB自体の価格を低下することなく、シェアを維持・拡大しようとする戦略ではないかと感じた。

その格好のターゲット(悪者扱い、あるいは、餌食)になったのが、Red Hatだったのではないかと思われる。

さて、Red Hatはこれに対してどう出るのか?更に、Oracleの覇権は、この戦略で維持・拡大できるのであろうか?これまで、Oracleは垂直統合を進め、更にライバル企業を買収を続け水平統合を行い、寡占化(独占化)を進めることで、収益性を高めてきた。しかしながら、これはやりすぎで、OracleDB離れを生じてしまっている。OracleDBの拡大の鈍化は、ユーザの抵抗の現れではなかろうか?この戦争の行く末は見ものである。

(徳田浩司 koji.tokuda at www.fusion-reactor.biz

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徳田浩司(Koji Tokuda)
Fusion ReactorのCEO。東京大学工学部卒。三和銀行に入社し、傘下の総合研究所にてシステムコンサルティング業務、銀行でM&A、新事業開発支援、ベンチャー投融資に従事した。2000年三菱商事金融部門に転職、日米のベンチャーファンドへの投資業務に携わった。2004年に独立、米国シリコンバレーに拠点を移し、日米のベンチャー企業のサポート業務、投資業務、IT・金融ビジネスのコンサルティングに従事中。
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