サービス時代の到来と人口減少の影響(1) ? アジア企業に学ぶ日本企業の生き残り策 より続く
ソフトウエア産業において価格ではなくサービスの品質で勝負をし始めたインド企業
現在、米国ビジネススクールへの留学生において、主流となりつつあるインドであるが、ITの世界、特に、ソフトウエア開発のオフショアリング(海外へのアウトソーシング)で有名である。
それに関して、あるコンサルタントからの話と私の経験を合わせて、ご紹介したいと思う。
現在では、シリコンバレーのITベンチャーにおいて、設立当初からインドでの開発を事業計画に入れているところは、なんと8割を占めるそうだ。さらに、TCS、WIPRO、Infosysと言ったインドの大手IT企業が、日本でも、業務拡大を本格的に進めており、それぞれ数百人もの体制になっているということである。当初は、インド人主体で運営されていたが、日本においては言葉の壁が存在しなかなか入り込めなかったため、最近では日本人コンサルタントを大量に採用しているのである。
インド企業は、プログラミングなど下流工程が中心で、安い労働力を武器に拡大してきたと思われがちだが、実は、上流工程に進出しており、BPO(Business Process Outsourcing)と呼ばれるような、システム開発・運用のみならず社内業務そのものを受託するケースが非常に増えてきている。BPM(Business Process Management)ソリューションなど、SOX関連サービスやSOA構築など、高度なシステムコンサルティングの領域までサービスを広げているのである。実際に、私が接触のある米国ベンチャー企業でも、リストラを実行するに当たって、ソフトウエア開発者のみならず、コンサルタントまでも米国社員を削減し、インドへのアウトソーシングにシフトすることに成功した。
ただ、急激にビジネスを拡大していることから、インドでも相当な人材難となっており、経験者のスカウト合戦と、新卒の奪い合いとなっており、人件費が毎年20-30%のスピードで上がっているそうである。このため、日本でインド大手IT企業が受注している価格は、日本のシステムインテグレーターとそれほど変わらなくなってきている。それでも、ビジネスを拡大し続けており、その理由としては、昨今の景気回復で日本企業の人手不足によるものと、技術的優位性が上げられる。特に技術については、米国などから長年アウトソースビジネスを展開してきたため、日本よりも優秀である。また、CMMやISOなどの国際資格も日本より上だということで、国際競争力があるということである。まさに、サービスの品質によって勝負をしかけているのである(「2007年は「サービス」時代の幕開け」ご参照)。
日本語の壁を日本人コンサルタントの大量採用によって打ち破ったインド企業
従来は低価格で勝負していたのが、サービスの品質の向上に伴い、日本においても急速に競争力を発揮するようになっている。これまでビジネスコンサルティングに近い領域でもインド企業が勢力を伸ばしており、米国の大学において、技術系のみならず、ビジネス系の留学生のうち、インド人が最大派閥となっている、という話は理解できる。
インド訛りは存在するものの、インドでは高等教育が全て英語で行われるため、インド人は英語を自由に扱える。そのため、90年代以降、インドのIT産業が米国市場において大きなポジションを得ており、2000年のITバブル崩壊後は、ますます勢いを増している。日本については、日本語という言葉の壁が存在することは、日本人の海外進出を阻んだが、同時に、長い間インド企業の日本進出を阻んできた。日本語の存在が国内システムインテグレーション業界を守ってくれたわけだ。しかし、米国での実績を武器にして、日本人コンサルタントを大量に採用することで、とうとうその壁を打ち破り始めたということだ。言葉の壁は海外展開をしないという理由にはならないのである。日本もそろそろ、海外展開を考えるべき時期にさしかかっていると言えよう。しかしながら、外から中に入る壁は崩れてしまったものの、中から外に出ていく壁は依然厚く、ほとんど進出が進んでいないのである。
(徳田浩司 koji.tokuda at www.fusion-reactor.biz)
※このエントリはZDNetブロガーにより投稿されたものです。シーネットネットワークスジャパン および ZDNet編集部の見解・意向を示すものではありません。
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