火星人が発見されたのでは!?という画像が巷で話題になり、前回のエントリー「NASA、ついに火星人を発見か!?」でもご紹介した。現在までのところ、NASAからは正式なコメントはない。写真も、ほんとうに火星人なのか、地表の石がたまたま人の姿に見えただけなのか、実際のところはわからない。しかし、実はもっと恐ろしいことが待ち受けているかもしれないのだ。
「火星人の逆襲」である。
火星人に対する思い入れは、19世紀終わりの小説家のHGウエルズの「宇宙戦争(The War of the Worlds)」というSF小説の影響が非常に大きいと思う。それによると、20世紀初頭に、タコ型の火星人が、大挙して宇宙船に乗って地球を侵略してくる。彼らの攻撃に、地球の軍隊は対抗するのだが、圧倒的な火力の差によって、人類は敗れてしまう。しかし、火星人が地球侵略を始めて2週間後に、不思議なことに火星人の攻撃はストップし、急に静けさを取り戻す。生き残った人類は、恐る恐る、彼らの宇宙船を覗いてみると、火星人は残らず死滅してしまっているのを発見したのだ。調べてみると、彼らを破ったのは、人類の兵力でも知恵でもない。地球上の病原菌である「ウイルス」だったことがわかった。火星人は、地球に上陸してから地球の大気を吸い、地上の生物を食べ始めたのだが、地球上のウイルスへの免疫を持たない火星人たちは、ウイルスに侵され、全滅してしまったのである。子供のころテレビで映画化されたものを見て、とても怖い思いをした経験がある。非常に有名な結末である。
それから1世紀が経過し、時は21世紀初頭。人類は火星に宇宙船を送り込み、地上探索車を動かし、火星の調査を進めている。今度は人類が火星を「征服」しようとしているのだ。現在火星には大気も水もないが、太古には大気も水もあったと思われている。高等な知能を有する火星人が存在していたかどうかは不明だが、何億年か昔にウイルス程度の生命が存在していた可能性は、今のところ全く否定はできない。

火星探索車Spirit (写真提供NASA)
現在行っている火星探索だが、火星の地表から数々の石のサンプルを収集し、最後には、宇宙船に乗せて、地球に持ち帰ってくることを考えている。以前、テキサス州ヒューストンのNASAを見学しに行ったときだが、月の石が展示されていて、実際に手で触れることができた。月には大気が存在したことはなく、生物は全く存在しなかったので、月の石を地球に持ち帰っても特に何も問題はなかった。しかし、今回は違う。
もし、火星人がいたらどうだろうか?火星人がいなかったとしても、もし、生命がかつて生息していたら?火星の地表に生命の死骸であるDNA(遺伝子)が存在しているとしたら?それが、採取したサンプルの石や宇宙船の表面に付着して地球に持ち帰ったら?地球環境でそのDNAが急激な速度で増殖をはじめたらどうなるだろう?
地球上の生態系が崩れるかもしれない。さらには、火星ウイルスの免疫を持たない人類はたちまち、火星ウイルスに侵されて、全滅してしまうかもしれないのである。ウエルズの宇宙戦争で、1世紀前に人類が火星人との戦いで打ち破ったのと同じ方法で、今度は「火星人の逆襲」が始まるかもしれないのだ!
火星に生物が存在しなかったことが100%確認されない限りは、地球環境中に、絶対にさらすことはできないのである。可能性は極めて低いとしても、今のところ100%大丈夫だとは、誰も保証はできない。そのため、火星生命のDNAを、絶対に一つも漏らさず、発見しなければならないのである。だからこそ、NASAは、ウエルズのSF小説やスピルバーグの映画に出てくるような話を、単なるおとぎ話としてとらえておらず、そこで登場するのがシリコンバレーで開発された世界最先端のバイオテクノロジーであり、それを使って、真剣に火星人探索を行っているということなのである。これが一連の火星人騒ぎの真相だ。コンピュータの世界と同様、宇宙開発でもウイルスは恐ろしいのである。
(徳田浩司 koji.tokuda at http://www.fusion-reactor.biz)
CNetから火星探索関連の記事や写真が多数レポートされているので、以下参照されたい。
フォトレポート:発見!火星に人?--火星探査車「Spirit」からの衝撃画像
シリコンバレーの現場から--やっぱり火星人はいた!?(ZDNet Japanブログより)
NASA、ついに火星人を発見か!?(ZDNet Japanブログより)
フォトレポート:火星を駆ける探査車--砂まみれになりながら奮闘
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