台湾の大手コンピュータ・メーカーのASUSテックが、ノート型パソコン「EeePC900」をフィリピン市場に投入すると発表した。新製品は発売からわずか5カ月の間に全世界で100万台を販売したPC700の上位モデルで、新製品発売により市場シェアを現在の10%から今年は15%まで引き上げる狙いだそうだ。全世界での目標販売数は、PC700が100万台を超えたこともあって、500万台と強気の数字を発表している。ASUSフィリピンのカントリー・マネジャーであるレオン・ユーによると「ゴールドマン・サックスが成長の勢いのある新興国『ネクスト11』としてフィリピンを挙げており、フィリピンのIT産業の伸びは大きく、ここでの事業を今後も継続していきたい」と語るなど、フィリピン市場への期待は大きい。
BRICsの名づけ親であるゴールドマン・サックスのチームは2005年12月にポストBRICsとして「ネクスト−11」を選定し、バングラデシュ、エジプト、インドネシア、イラン、韓国、メキシコ、ナイジェリア、パキスタン、フィリピン、トルコ、ベトナムの11カ国を取り上げている。「ネクスト・・・」には、いろいろ異論もあり、「VISTA」などという説もある。これは、2006年11月6日に日経BPオンラインで提唱された「次世代の有力新興国群」を指す。具体的にはベトナム(Vietnam)、インドネシア(Indonesia)、南アフリカ(South Africa)、トルコ(Turkey)、アルゼンチン(Argentine)である。日本のIT企業は、いまもっともホットな地域としてベトナムを視野に入れていると思われる。確かにベトナムは積極的にかつまじめにITを学び受け入れているようだ。
以前私が勤めていたDBS(ダンアンドブラッドストリート・ソフトウェア)のアジア太平洋地域におけるヘッドオフィスであるオーストラリアのシニア・プロダクト・マネージャーだったのが、ベトナム出身で東京大学で博士号を取得したトゥアン・ディーンであった。彼の仕事ぶりを思い出す限り、非常に勤勉で派手さはないが確実に物事を遂行するタイプで、もう一人のシニア・プロダクト・マネージャーであったフィリピン出身のバーニー・ティーとは全く逆のタイプだった。バーニーは非常に明るく(悪く言えば軽く)スピーディに物事を解決するのだが、別の場所でトラブルを発生させる。一つのバグを修正するのに何度もそれを繰り返すものだから、手は早くても結局多くの労力をかけることになる。彼らがそれぞれの国の代表的な個性であるとは言えないが、私が今フィリピンで会う多くの人たちと、人づてに聞いたベトナムの人々の行動パターンは、彼らに酷似している。私の中にある両者の違いは、「未来を推測して(インパクトを予測して)現時点の行動を決定しているかどうか」のにあると思っている。もしこれが正しければ、ベトナムの人たちの方がより日本人好みななのかもしれない。
一方こんなIT企業も、最近のフィリピン出現している。ここ数年、積極的な企業買収により急成長を遂げているがフィリピンのIT企業であるのIPVGだ。同社のエンリケ・ゴンザレス最高経営責任者(CEO)は、今年も積極的な事業拡大路線を継続し、今後、年に売上高300%成長を目指したいと表明している。31歳のゴンザレス氏はIPVGを2005年に設立し数々の企業買収を手掛け、07年11月には新規株式公開(IPO)に成功している。3月に韓国のゲーム会社であるESTソフトと提携し、4月には米国コールセンター大手インタラクティブ・テレサービシズ(インフルエント)を買収した。現在、インド、ベトナム、シンガポール企業などに注目している。今後、海外事業を伸ばしていきたい」としている。是非、日本企業にも注目して欲しいものだと思うのは、私だけなのだろうか。ここにあるのは、言葉の壁?
以前にも書かせていただいたが「世界はフラット化」している。日本のIT企業が今後どのようにグローバル社会で生き残り、勝ち残っていくかを考えると「井の中の蛙」ではいられない。今私が身を寄せているベンチャー・キャピタルの投資先を見ても、まさにダイナミズムに満ちあふれている。アメリカのスマート・フォンなどに使用されている半導体製造企業から、インドに進出するGPON(ITU-Tが国際標準化した新規格高速光アクセス・システム)、冷却フィン製造企業などなど。これでもフィリピンのベンチャー・キャピタルですよ。ボードミーティングに参画するのに世界中を飛び回っているのが、私のボスです。
「BRICsのネクスト」がどの国であるか、私にはアイデアはないが「みんなで渡れば怖くない」式ではなく、このダイナミズムにどのように相対するのか独自の観点で見極めていく必要があるのではないだろうか。日本のIT企業も世界から注目されるようになって欲しいものだ。
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