9X Problem

 先日、エンタープライズ2.0の名づけの親、Andrew McAfee教授のビデオを見る機会があった。そこで「9X(ナインエックス) Problem」という面白い話があったので紹介しよう。本人による原文はこちら

■サイボウズからDesknet'sへの乗り換えは困難か?

 リアルコム社内ではグループウェアとしてGoogle Apps Premier Editionを利用しているが、一部ワークフロー等はサイボウズを利用していた。先月その部分がサイボウズからDesknet'sに変わった。どちらも日本を代表するウェブ型グループウェアであるが、サイボウズでは機能が不足していたため、機能面で優れているDesknetsを入れた。

 ところが、社内に抵抗がある。「新しいツールに移るのは面倒くさい」「今のままでよいのではないか」といった声があがっている。

 機能はDesknet'sの方が明らかに優れているのだ。それなのに、なぜここまで抵抗があるのか。それは「9X Problem」があるからである。


■9倍使いやすいこと

 McAfeeの同僚John Gourvilleの研究によれば、平均的消費者は新しい技術の良い点を3倍小さく評価し、既存の技術の欠点を3倍大きく評価する。よって新技術を受け入れるためには9倍以上の便利になっていないと難しい。これが9x Problemである。

 9倍という数字が正しいかどうかは別にして、感覚的に納得できる話である。社内におけるDesknet'sに対する抵抗はまさにこの9x Problemに起因していると言ってよいだろう。

 これまで新しいテクノロジーが次々と世に送り出されてきたが、定着せずに終わった例は多い。それはイノベーションが9倍より小さかったからなのかもしれない。

 Blog、Wiki、SNSなどのエンタープライズ2.0のITツールもまた、E-mailやグループウェアといった既存の技術に対して9x Problemを抱えている。こうした新しいITツールが真に普及するためには、既存のツールに対して9倍以上便利になる必要がある。ブームに流されず、本当に9倍の利便性向上があるかどうか、考えてみるべきであろう。

 興味がある方は今週開催されるEnterprise2.0 SummitでMacafeeのビデオ公演があるので、よけれえば参加してみたらいかがだろうか?


吉田健一@リアルコム

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プロフィール
吉田健一(Kenichi Yoshida)
リアルコム取締役、Chief Marketing Officer。一橋大学商学部卒。戦略系コンサルティングファーム、ブーズアレンのコンサルタントを経て、情報共有・コンテンツマネジメントソリューションを手がけるリアルコムの創業メンバー。同社ではコンサルティング・マーケティング部門を統括、ソニー、NEC、三菱東京UFJ銀行、ニコン、ファイザーなど国内大手企業の情報基盤戦略に関するコンサルティングを多数手がける。情報共有、ナレッジマネジメント、ポータル、次世代情報基盤などのテーマの第一人者。著書に「この情報共有が利益につながる」(ダイヤモンド社)等。
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