最近、日本の将来を大変憂いている。
確かに、先日トヨタは最高益を更新した。しかし振り返ってみると、今日日本の世界的優良企業はみな製造業ばかりだ。戦後焼け野原の中からソニー、ホンダが立ち上がって以来、日本が世界に誇る企業をほとんど生み出していない。特に、80年代以降、ソフトウェアやITサービス産業において世界的企業が次々と世に生み出される中で、日本企業の名前はない。シリコンバレーで「ソフトウェア企業にいます」と言うと「Are you chinese?」と聞かれる。それくらい、ソフトウェアやITサービス産業において日本のプレゼンスはない。
このままだと日本をこれまで発展させてきた先人に申し訳が立たない。なぜ、日本人にGoolge、Amazonが作れないのか。その理由を考えてみよう。
■ソフトウェアエンジニアの地位が低い
まず、日本ではソフトウェアエンジニアの地位が圧倒的に低い。そもそも、優秀な学生が理系に進まない。理系に進んでも、ソフトウェアエンジニアにはならない。日本でソフトウェアエンジニアと言うと「きつい」「帰れない」「給料が安い」の3K職場のSEを思い浮かべる。優秀な人であれば、誰もそんな仕事に
つきたがらない。
ところが、シリコンバレーではまったく状況が異なる。シリコンバレーでもっとも給与が高い仕事は、弁護士でも国家官僚でも投資銀行でもなく、ソフトウェアエンジニアだ。平均給与が1500万くらいというから、日本のSEには考えられない。
しかも、シリコンバレーのソフトウェアエンジニアには夢がある。数年前まで、スタンフォード大学の学生だった人が、面白半分でソフトウェアを作っていたら、あっというまに億万長者になって、マイクロソフトを驚かす巨大企業を作ってしまった、こんな話がごろごろしている。優秀な人は誰もがソフトウェアエンジニ
アを目指し、そして打倒マイクロソフトを期して企業する。こうした好循環が回っている。
こうしたロールモデルが日本にはない。だから、優秀な人はソフトウェアエンジニアにならないし、たとえなってもビジョンを掲げた世界的企業を起業しようなどとは夢にも思わないのだ。
■最初から世界を見てない
ソフトウェア業界は規模の経済が働く市場だ。1つ優れたソフトウェアを作れば世界中で売ることができる一方で、中途半端な規模の会社は淘汰されていく。OSで1社、DBで1社、ERPで1社と1分野で1社しか生き残れない。
日本にもソフトウェアやITサービスの企業はたくさんある。ベンチャー企業もたくさんある。しかし誰も世界を見ていない。打倒マイクロソフトなんて掲げている会社は全然ない。しかも、ソフトウェア・ITサービスというと受注生産型・カスタム構築型の企業が中心で、ソフトウェア製品を作ろうという企業はほとんどない。その結果、いつでもインド・中国に持っていける労働集約的な業務しか残っていない。
こうした背景のひとつには日本が中途半端に市場が大きいから、国内で十分食っていけると言うことがあげられる。しかし、北米のIT市場は日本の3倍、EUは2倍と考えると、日本の約5倍の市場が北米・EUだけであるわけで、その市場で規模の経済を働かせた企業に対して日本企業が勝てるわけがない。だから、日本に流通しているソフトウェアに国産のものはほとんどないのだ。
ホンダはまだ日本でバイクなんか全然売れない時代から「アメリカでバイクを売るんだ」と豪語していた。その結果、ホンダは世界をリードする自動車会社になった。夢を最初からもたなければ、実現も絶対しない。
■日本人でもGoogle、Amazonが作れる
でも、日本人にGoogle、Amazonが作れないわけがない。日本人をなめるんじゃない。自動車だって、デジカメだって、誰が作ってると思ってるんだ。ソフトウェアやITサービスで世界を席巻することだって絶対できる。ただ、やる気とチャンスが無かっただけだ。
リアルコムは先日、Software Innovation Laboratory (SIL) というインキュベーション事業を始めた。「打倒マイクロソフト」「打倒Google」がやりたい心意気のあるソフトウェアエンジニアを募集する。日本にいると気合が入らないのでシリコンバレーに行ってもらう。1年後にシリコンバレーのベンチャーキャピタルから出資を受けるまで、背水の陣でがんばってもらう。そんな仕組みである。
「ふざけるな!日本人にもGoogle、Amazonは作れるぞ!」と思った方、ぜひご応募いただきたい。是非、一緒に世界をギャフンと言わせてやりましょう。
吉田健一@リアルコム
吉田健一(Kenichi Yoshida)
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