ITコンシュマライゼーションは世界を変える

2007年06月28日 18:39
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 他社サイトで恐縮だが、インプレスさんがエンタープライズ2.0サイトを立ち上げた。その中にコラムを書いているのでご覧ください。さて今日のテーマはエンタープライズ2.0の本質、ITコンシュマライゼーションである。


■ITコンシュマライゼーションとは

 ITコンシュマライゼーションとは、情報技術の消費者化のこと。調査会社のGartnerが2006年11月に発表した「What's Next with Web 2.0 and Consumerization?」 というレポートで提唱されたトレンドで、消費者向けのITが企業に取り入られるようになってきたという潮流のことを指す。

 例えば、アップルコンピューターの音楽プレーヤーのiPod。ティーンエージャーがロックを聞く為のツールだと思っていたらそれは大間違いだ。既に、National Semiconductor、Capital One、Siemensといった米国の大手企業が、iPodを活用した音声配信の仕組みであるポッドキャスティングを社内教育や社内通達の手段として活用、全社員にiPodを導入している 。消費者向けに開発されたITが、企業の生産性向上に役立っているのである。

 企業が消費者向けのITに頼りつつあるという流れは、iPodに留まらない。検索サービスGoogle、地図検索サービスGoogle Maps、IP電話サービスSkype、インターネット上の百科事典Wikipedia。既にこれらなしの業務遂行は考えられないだろう。このように消費者向け市場で生まれたITが企業向けに転用されていくという流れが、ITコンシュマライゼーションである。

 そもそも、産業革命以降、世に送り出されてきた技術は、まず軍用・産業用に開発され、その後民間に転用される歴史をたどってきた。電信も、ジェットエンジンも、原子力も、もとをただせば軍用・産業用テクノロジーである。ITもその例外ではなく、世界で最初のノイマン式コンピューターENIACは、弾道計算や暗号解読を行う軍事用であったし、その後のコンピューターの発展の歴史は、IBMが「国際事務機」、富士通が「富士通信機」という社名であったことが分かるように、金融機関のオンラインシステムや電話会社の通信システムが原動力であった。インターネットも、もとは核戦争にも耐えうる通信システムの研究委託を米国国防総省からARPANETが受けたことが発端である。


■消費者から生まれ、企業が従う

 消費者向けに投入された最初のITは、PCである。1980年に入りAppleコンピューターが軍や企業が独占していたコンピューターの力を個人向けに解放すべく、個人向けコンピューター、すなわちパーソナル・コンピューターを世に投じた。このことをあらわしたMac発売時の1984というリドリースコット監督のコマーシャルは必見。当時、ドラッグ&ドロップやファイル・フォルダなどのGUI(グラフィカルユーザーインタフェース)は、ホビーかおもちゃだと思われていた。しかし、印刷業界やグラフィック業界が業務に使えるとPCを導入してから、次々とPCの企業向けの転用が進んだ。

 PCの次に、消費者向けのITが花開いたのがインターネットと携帯電話である。このPC、インターネット、携帯の三つ巴がコンシュマライゼーションを牽引した。インターネットプロトコル、ウェブブラウザ、HTMLや携帯メールは、当初は消費者向け技術であったが、いまやこれらなしに企業情報システムは考えられない時代となった。

 世界的に均質となったグローバル市場が、経済を突き動かす。伸び悩む企業の設備投資よりも、活気があるグローバル消費者市場を企業は魅力的と感じる。巨大なグローバル消費者市場に対して、次々と新しい技術が投入され、企業はその技術を利用せざろうをえない。今後、様々な技術がまず消費者向けに生まれ、それを次に企業が活用していく流れが加速していくのである。


■ITベンダーからエンドユーザーへのパワーシフト

 それではこのITコンシュマライゼーション、エンタープライズのITビジネスにどのようにインパクトを与えるのか。それはITベンダーからエンドユーザーへのパワーシフトである。次の絵を見ていただきたい。

power.gif

 これまでの情報システムの購買意思決定には、ITベンダーが大きなパワーを持っていた。ITベンダーがシステム部に新しい技術を提案し、システム部がシステムを構築、リリースする。エンドユーザーはそれをつかわざろう得ない。そんな流れだった。

 ところが、ITコンシュマライゼーションに伴い、ITはエンドユーザーが直接理解できる形で提供されるようになった。その結果、「社内でもGoogleが使いたい」「情報共有にブログを使いたい」といった声が、エンドユーザーから直接あがってくるようになった。こうしてシステム部はユーザーの要望を聞いてシステムを作り、ベンダーはそれに従うしかない。そう、ベンダーからユーザーへの大きなパワーシフトが起こっているのだ。

 我々のビジネスはこのITコンシュマライゼーションでどうかわっていくのだろうか。DS Liteって営業支援ツールに使えるかもとか、考え出すと色々面白くなってくる。



吉田健一@リアルコム

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プロフィール
吉田健一(Kenichi Yoshida)
リアルコム取締役、Chief Marketing Officer。一橋大学商学部卒。戦略系コンサルティングファーム、ブーズアレンのコンサルタントを経て、情報共有・コンテンツマネジメントソリューションを手がけるリアルコムの創業メンバー。同社ではコンサルティング・マーケティング部門を統括、ソニー、NEC、三菱東京UFJ銀行、ニコン、ファイザーなど国内大手企業の情報基盤戦略に関するコンサルティングを多数手がける。情報共有、ナレッジマネジメント、ポータル、次世代情報基盤などのテーマの第一人者。著書に「この情報共有が利益につながる」(ダイヤモンド社)等。
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