Googleの人中心のナレッジマネジメント「knol」

2007年12月23日 22:30
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 すいません。上場前後のどたばたで長らくブログの更新をサボってましたm(__)m...年末になってようやく落ち着いてきたので復活。今日のテーマは、Googleが公開準備をしている「knol(ノール)」についてである。


■Google版「All About」

 Unit Of Knowledgeを意味する「knol」はGoogleが計画中のナレッジマネジメントサイトだ。

 医療、科学、エンターテイメント等の各分野のエキスパートが、その分野に関する知識をサイトに記事として執筆し、公開する。例えば、金融のエキスパートが「医療保険」についてわかりやすく記事を書いたサイトを公開し、、「医療保険」について知りたい人が閲覧するイメージだ。knolの画面イメージはこちら。不眠症に関する記事を公開している例だ。

http://www.techcrunch.com/wp-content/knol1.jpg

 「Google版Wikipedia?」といわれているけれど、複数の匿名の執筆者が一つの記事を書くという集合知モデルではなく、実名を公開した1人のエキスパートが記事を書くという観点からすると、「Google版AllAbout」といった方がしっくりくるだろう。

 AllAboutとの違いは誰でも記事を書くことができるため、記事の品質にはばらつきがでてくること。同じ分野に複数のサイトができることもあるとのこと。そこで品質をコントロールするため、執筆者のレーティングや記事に対するレビューが行われるそうだ。


■知識の対価はどう支払う?

 Knolの最も大きな特徴は、執筆者がサイトに広告を掲載することができることだ。広告料はGoogleと折半されるが、その大半が執筆者に支払われる。つまり、質の高い知識を提供すれば、その分現金収入となって帰ってくるということだ。

 ウェブ上の集合知型サイトの多くは、ボランティアに頼っている。Wikipediaのように成功する例もあるが、本当に信用できる知識なのか、本当にベストのエキスパートの知識が公開されているかというと、そうではないケースも多い。Knolはこうした問題を解決し、真に質の高い知識が提供される可能性を秘めている。
 
 知識の出し手にどのように対価を支払うかというテーマは、ナレッジマネジメントにおける究極の課題である。我々が2000年に知識のオークションサイト「Kスクエア」を立ち上げた時も最も配慮したのはその点であった。「Kスクエア」では、知識に対する対価を、知識の受け手から出し手にそのまま現金で支払うという画期的なモデルであったが、小額課金の難しさ等から当時はビジネス的な成功にはいたらなかった。しかし、このKnolのモデルであれば、知識の出し手に正当な対価を支払うことができるかもしれない。

 企業内のナレッジマネジメントにおいても、知識の出し手に対するインセンティブが大きな課題になっている。企業内にWikiをたちあげたからといって、おいそれと企業内Wikipediaが立ち上がらない理由はインセンティブにある。いくらWikiを書いたところで、上司に評価されないし、給料も上がらない。逆に「何遊んでいるんだ!」と怒られてしまうかもしれない。

 Knolのモデルをそのまま企業内に取り入れることはできないが、例えば企業内Adsenseとでもいおうか、知識の提供者が作成した記事が閲覧される毎にポイントが蓄積され、人事考課の一つの指標になるなどの応用はできる。もう一度、ナレッジマネジメントを考え直してみるいいチャンスかもしれない。



吉田健一@リアルコム

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プロフィール
吉田健一(Kenichi Yoshida)
リアルコム取締役、Chief Marketing Officer。一橋大学商学部卒。戦略系コンサルティングファーム、ブーズアレンのコンサルタントを経て、情報共有・コンテンツマネジメントソリューションを手がけるリアルコムの創業メンバー。同社ではコンサルティング・マーケティング部門を統括、ソニー、NEC、三菱東京UFJ銀行、ニコン、ファイザーなど国内大手企業の情報基盤戦略に関するコンサルティングを多数手がける。情報共有、ナレッジマネジメント、ポータル、次世代情報基盤などのテーマの第一人者。著書に「この情報共有が利益につながる」(ダイヤモンド社)等。
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